最近の投稿

貨物利用運送事業を始める方がまずは読むべき開業完全ガイド

 

ひょっとすると、あなたは貨物利用運送事業を始めようと思っているかもしれません。

はたまた、今は使われて配車をしている身でも、いつかは独立してやろうと思っている野心家の方かもしれません。

どちらにしても利用運送、別名”水屋”の業務を分かってはいるけど、開業の仕方は分かっていないかと思われます。

 

利用運送を始める為に必要な3つの条件や、必要な書類、期間や費用等の諸条件が揃い始めて開業ができます。

当然と言えば当然ですが、一つでも要件に欠けてしまうと利用運送を始めることはできません。

では、どのような内容になっているのでしょうか?

 

ここではざっくりとではありますが、それら全てを分かりやすい言葉で丁寧に説明していきます。

先ずは一読してください。

あなたが利用運送を始めるのに必要な手続きの全てが分かることをお約束します。

 

それでは確認していきましょう。

 

Contents

貨物利用運送事業とは?

まずは貨物利用運送事業の定義を確認しておきましょう。

簡潔に述べますと、荷主の依頼を受けて有償で他社のトラックを利用して運送すること、と述べています。

貨物利用運送事業者はトラックを持っているか持っていないかではなく、厳密に言えば貨物の輸送に関して自社トラックを用いないと解釈すべきです。

また、実運送事業者とは貨物利用運送事業法に定められていますが、下記4業種を指します。

  1. 船舶運航事業者
  2. 航空運送事業者
  3. 鉄道運送事業者
  4. 貨物自動車運送事業者

この実運送事業者を利用せずに貨物を輸送する場合は貨物利用運送事業者に該当しません。

 

貨物利用運送事業の区分

貨物利用運送と言っても、大きくわけて2種類の貨物利用運送事業があります。

どういった種類があるのでしょう?

第二種貨物利用運送事業

荷主に対し、集荷・幹線輸送・配達までの一貫運送責任を負って、戸口から戸口(ドアtoドア)までの一貫運送サービスを提供

と定義されていますが、これだけだと分かりにくいですね。

大前提として荷主から配達先まで一貫運送責任を負うサービスを提供することです。

その輸送手段にトラックプラス

  • 港(船舶)
  • 空港(飛行機)
  • 貨物駅(鉄道)

といった複数の輸送手段を用いる場合は二種利用となります。

第二種貨物利用運送事業は許可制度となっております。

第一種貨物利用運送事業

これは第二種貨物利用運送事業に該当しないものは全て第一種貨物利用運送事業となります。

集荷先(荷主)から配達先までの一貫運送責任を負った場合でも、輸送手段がトラックだけ等の場合は一種利用となります。

トラックで港湾のヤードへ配達し、その後の輸送手段が船舶となる場合でも、一貫輸送責任を負わずに輸送の一部を担うような場合は、やはり一種利用となります。

第一種貨物利用運送事業は登録制度となっております。

 

これらを詳しく説明したページを用意しております。

貨物利用運送事業とは何か?を再確認

罰則規定

貨物利用運送事業法という法律があります。

この法律において、”貨物利用運送を始めようとするときは国土交通大臣の行う登録を受けなければならない”と定められています。

この登録を受けないで貨物利用運送を始めた場合、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとも定めています。

あなたはこのような事態を絶対に避ける必要があります。

 

貨物利用運送事業の登録が不要なケース

実運送事業者

あなたが利用運送事業者だとして、実運送事業者以外に依頼する場合は利用運送の登録は不要となります。

たとえば実運送事業者が

  • 軽自動車
  • ロープウェイ
  • 港湾運送を行う事業

のような場合を指します。

無償

ちょっと想像しにくいのですが、荷主の依頼を受けても無償で運送すれば利用運送の登録は不要となります。

荷主

運送業界で厄介な言葉の一つでもある荷主である場合は利用運送の登録は不要です。

ここでいう荷主とは自社貨物を実運送事業者に運送させるといった自らの需要に応じる行為を指します。

つまり荷物の出荷元と考えてもらったら分かりやすいかと思います。

 

貨物利用運送事業の登録が必要なケース

利用の利用

よくあるケースですが

荷物のやりとりが多いのが特徴と言っても過言ではない運送業界。

この場合、B社から見たA社も通常は荷主と呼びますよね。

一言で荷主と呼んでも分かりにくい業界でもあります。

利用の利用と呼ばれるこの場合、A社もB社も利用運送登録が必要になってきます。

一般貨物自動車運送事業者

ここでは実運送事業者の役割として説明している一般貨物自動車運送事業者(以下トラック事業者)。

一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際に利用運送も一緒に取得している場合が殆どかと思います。

トラック事業者が実運送事業者(トラック事業者)を利用する場合は、登録は必要ありません。

その場合、事業計画の変更認可申請を行う必要があります。

トラック事業者が利用運送専業者(トラック事業者でない利用運送事業者)を利用する場合は、貨物利用運送事業法に基づく第一種貨物利用運送事業の登録が必要となります。

 

登録が必要か不要かについて詳しく説明したページを用意してあります。

貨物利用運送事業の登録(許可)は必要?不要?

貨物利用運送を始める際の3要件

財産的要件

貨物利用運送事業法施行規則という利用運送を始める際の要件などを定めた規則があります。

この7条に記されておりますが、300万円以上の資産を保有していることとされています。

この金額は直近で決算を迎えた貸借対照表で確認します。

場所的要件

使用する権利を有していること

あなたが営業所を使用する権利を証明する必要が出てきます。

その場合に自己所有と賃貸で証明する方法が変わってきます。

  • 自己所有:発行後3ヶ月以内の登記簿謄本等
  • 賃貸:契約期間が概ね1年以上の賃貸借契約書

となっております。

関係法令に抵触していない

様々な法律に適合させる必要があります。

どのような法律があるのでしょう?

都市計画法

市街化調整区域ではないこと。

ちなみに市街化調整区域とは”原則として”建物を建ててはいけませんよ”とされている地域です。

規模

事業の遂行上適切な規模であること”と定められています。

具体的な数値を示していない地域もありますが、机、椅子、電話等の通常営業できる設備が備わっていれば大丈夫です。

保管施設

貨物を保管する場合は上記の使用権原や関係法令に適合している必要があります。

また、盗難防止にも努めなければなりません。

人的要件

あなたが欠格事由に該当していた場合は登録を拒否されてしまいます。

欠格事由とはどのようなものでしょうか?

  1. 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられその執行を終わり二年を経過しない者
  2. 利用運送の登録を取り消され二年を経過しない者
  3. 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
  4. 法人であって、その役員が1.2.3に該当していないこと
  5. 省略
  6. 適切な営業所を持たない者
  7. 登録申請時に300万円用意できない者

このような項目にあなたが一つでも該当すると登録できません。

 

利用運送の3要件を詳しく説明したページを用意しております。

貨物利用運送事業を始める場合の3つの要件を解説

申請書類

ここでは第一種貨物利用運送事業の申請書類についてを説明していきます。

第一種貨物利用運送事業登録申請書

基本となる申請書にあたるものです。

記載事項は、住所、氏名又は名称、代表者の氏名など、何も悩む必要のないものです。

ですが、これに書類をいくつか添付する必要があります。

どのような書類があるのでしょう?

事業の計画

これも住所や氏名、称号などの簡単な事項ばかりです。

営業所の使用権原を有する宣誓書

あなたの使用する営業所の権限を宣誓する書類です。

営業所が都市計画法に抵触していないことの宣誓書

市街化調整区域など、営業所として使用を禁止されている場所での営業ではないことを宣誓する書類です。

欠格要件に該当していないことの宣誓書

あなたが欠格要件に該当していないことを宣誓する書類です。

利用運送契約書

運送取引契約を記した書面です。

実際に事業を始める際の契約(取引)相手とあなたのサインが必要となります。

 

業務形態によって変わる提出書類

法人設立している場合

定款又は寄付行為及び登記簿の謄本

通常であれば定款だけで大丈夫です。

最近の事業年度における貸借対照表

これはそのままの意味ですね。

役員又は社員の名簿及び履歴書

これもそのままの意味ですね。

 

これから法人設立しようとする場合

定款又は寄付行為の謄本

ここも設立している場合と同様に素直に定款を提出しましょう。

発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書

これはそのままの意味ですね。

設立しようとする法人が株式会社又は有限会社である場合にあっては、株式の引受け又は出資の状況及び見込みを記載した書類

法人を設立する際の出資状況を記載した書類を提出します。

 

個人

財産に関する調書

あなたが保有する財産の詳細を記した書面です。

戸籍抄本

個人事項証明書とも呼ばれるものです。

履歴書

あなたの履歴書です。

 

申請書類について詳しく説明したページを用意しております。

貨物利用運送事業の登録(許可)申請を分かりやすく解説

申請の流れと期間

申請の流れを図にしてみました。

それぞれの項目を確認していきましょう。

申請書類の作成

メインとなる書類は第一種貨物利用運送事業登録申請書というものです。

これに添付する作成書類がいくつかあります。

  • 事業の計画
  • 宣誓書3通
  • 利用運送契約書

このようなものがありましたよね。

申請に必要な書類の収集

作成書類には更に添付する書類がいくつかあります。

法人を設立しているか、これから法人設立をするのか、または個人で開業するのかによって集める書類が変わってきます。

申請書類の提出

全ての書類を揃えることができたら提出します。

提出先は、あなたの営業所の所在地を管轄する運輸支局となります。

書類審査

標準処理期間は2~3か月となっております。

登録通知書交付

登録申請書に補正などがなければ、申請から3か月以内には登録通知書を受け取ることができるはずです。

登録免許税納付

登録免許税というものを支払う必要があります。

これは全国一律で9万円となっております。

運賃料金設定届出書提出

登録した旨の通知を受けてから運賃料金を設定します。

設定後30日以内に運賃料金設定届出書を所轄地方運輸局長に提出しなければなりません。

営業開始

ここではじめて営業開始となります。

 

まとめ

利用運送を始める際に必要な要件や流れを見ていかがだったでしょうか?

あなたが思っていた以上に面倒な手続きだったかとも思います。

 

あなたが利用運送を始めようと検討されている時点で凄腕配車マンだとお見受けします。

そもそも腕に自信が無ければ独立など考える余地のない業種ですからね。

 

ですが、申し上げるまでもなく、利用運送登録はゴールではなくスタート地点でしかありません。

支払が一日遅れるだけで致命傷となり、噂はたちまち広まる世界でもあります。

あなたは利用運送登録をすることより、実務をしていくことのほうが何倍も大変になることと思います。

 

ですが、あなたなら大丈夫です。

現状の運送業界で現に生きていけてるのですから。

 

利用運送の申請が面倒だと感じるなら、専門家に迷わず相談しましょう。

あなたに時間的余裕があるならば、自分で挑戦してみるのも良いと思います。

どちらにしても、利用運送登録はあくまで通過点にしか過ぎません。

その後の営業活動を頑張ってください。

 

しつこいようですが、あなたならきっと上手くいきます。

PAGE TOP