最近の投稿

一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 資金編

あなたは運送業を始めたい!と思う反面、貯金額が足かせとなって踏み出せないといった状況だったりしませんか?

はたまた「貯金○○○万円貯めたけど運送業を開始するのに大丈夫なのかな?」と不安になったりしていませんか?

事業を始めようと思えば、資金がいくら必要なのかという部分がやはり気になりますよね。

 

それは、いくら以上必要といった具体的な数値を求められていないだけに、漠然とした不安を感じるのは仕方がないことかもしれません

たしかに一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際に、まとまった資金は必要です。

10tトラックばかりであれば1,000万円では足りないかもしれません。

 

漠然とした不安は、あなたの思い描く運送会社の初期投資に具体的にいくら必要なのかが分からないから起こるものだと思います。

一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際に求められる、具体的な金額を先ずは確認しましょう。

 

ここでは一般貨物自動車運送事業の許可要件である資金に関して、国土交通省・関東運輸局の公示を元に、専門用語を使用せず、できる限り分かりやすい言葉で説明していきます。

先ずは一度読んでみてください。

あなたが思い悩む資金は、一般貨物自動車運送事業の許可要件を取得する際にいくら必要なのかを確認する判断基準になることをお約束します。

 

こちらも合わせて読まれることをオススメします。

運送会社を設立する時に無担保・無保証人で資金を借りる方法

 

それでは一つ一つ確認していきましょう。

Contents

資金計画

(1)営業を開始する際の資金が十分であること。

一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際の申請書の一つに”事業の開始に要する資金及び調達方法”という様式があります。

その様式に、後述する(2)の具体的な金額を記載する必要があります。

その合計金額が十分であるかを求められています。

また、銀行等が発行する残高証明書等で2度提出し、証明しなければなりません。

 

(2)トラック・営業所・車庫等の各価格(1)の内訳。

ここでは運送業を開始する際の必要資金の明細を求めております。

どのような分類かをまずはザックリとした表で確認してください。

一括 12か月分 6か月分 2か月分
登録免許税 保険料(自賠責・任意保険等) 人件費 道路使用料
その他(器具、工具、什器、備品等) 各種税(自動車税・自動車重量税等) 燃料油脂費 光熱水料
車両費(一括の場合) 車両費(割賦の場合) 修繕費 通信費
建物費(一括の場合) 建物費(賃借の場合) 広告宣伝費等
土地費(一括の場合) 土地費(賃借の場合)

それぞれの詳細を分かりやすく説明していきます。

一括

登録免許税

一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際にかかる費用です。

一律で12万円となります。

 

その他

什器・備品費等、運送業を開始する際、最初に用意する物の価格です。

具体的には机、椅子、パソコン、ラッシングベルト、コンパネ等が考えられるでしょう。

 

1年分

保険料
  • 自賠責保険の1年分の金額×車両数となります。
  • 自賠責でまかないきれない場合に加入する一般的に言われる任意保険(対人無制限)の1年分の金額×車両数となります。
  • 危険物輸送をされる場合は更に危険品輸送賠償責任保険に加入し、その1年分の金額×車両数となります
各種租税公課

そもそも租税公課とは”租税”と”公課”を合わせたもので、租税は税金、公課は公的な負担金となります。

代表的な租税とは:(国税)登録免許税など (地方税) 事業税、固定資産税、不動産所得税、自動車税、自動車取得税、自動車重量税などを指します。

代表的な公課とは:商工会や共同組合などの会費や組合費を指します。

あなたが商工会や組合は後回しでと考えるなら、この場合、自動車税+自動車重量税(+自動車取得税)の1年分×車両数となります。

車両費

必要車両を購入する際の金額を指します。

あなたが一括購入を考えているなら全額を、ローンやリースを考えているなら毎月の支払金額×車両数×12か月分となります。

仮に一部を一括で購入し、残りはローンを組む等の場合「一括購入金額+毎月のローン支払い額×12か月分」となります。

 

建物費・土地費

営業所・車庫・休憩施設にかかる金額を指します。

あなたがこれから運送業を開始するにあたり土地・建物も購入するという方は取得にかかる全額(一括購入時)、若しくは毎月のローン支払い額×12か月分となります。

賃貸の場合も同様に賃料の12か月分となります。

 

6か月分

人件費

「役員報酬」「給与」「手当」「賞与」「法定福利費」と分かれ、全て合算した金額の6か月分となります。

役員報酬:役員の給料です。報酬月額×6か月分となります。

給与:従業員(運転手、運行管理者、整備管理者、事務員、その他)の給料です。従業員数×月額×6か月分となります。

手当:一般的に歩合給の部分です。従業員数×月額×6か月分となります。

賞与:もらう方は嬉しいボーナスですね。給与月額×給与月額の「数」か月分×年間賞与支給回数×従業員数×6分の1となります。

 

法定福利費

「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「労災保険料」と4つに分かれ全て合算した金額の6か月分となります。

健康保険料:「(役員報酬+給与+手当)×事業主負担率」+「賞与×事業主負担率」

厚生年金保険料:「(役員報酬+給与+手当)×事業主負担率」+「賞与×事業主負担率」

雇用保険料:(給与+手当+賞与)×事業主負担率

労災保険料:(給与+手当+賞与)×事業主負担率

 

厚生福利費 (給与+手当+賞与)×2%となります。

 

燃料油脂費

燃料費:車両1台辺りの月間予想走行距離×車両1台辺りの予想燃費×燃料単価×車両数×6か月分となります。

油脂費:燃料費×3%となります。

修繕費

「外注修繕費」「自家修繕費」「タイヤ・チューブ費」と3つに分かれ全て合算した金額の2か月分となります。

外注修繕費:車両が修理工場やディーラーで修理を受ける予想金額×車両数となります。

自家修繕費:自社で修理する場合の修繕費や部品費となります。

タイヤ・チューブ費:仮に1年で全輪交換するものとして計算しますが、10t低床(12本)とした場合に1か月に1本交換と見立てタイヤ単価を乗じて更に車両数を乗じます。

2か月分

その他

旅費、会議費、水道・光熱費、通信・運搬費、図書・印刷費、広告宣伝費等:固定電話や携帯電話、パソコンの回線使用料等を合算した2か月分

 

(3) (2)の資金が許可申請後の一定期間は確保されていること。

申請時に(2)で説明した合計金額の残高証明が一般貨物自動車運送事業の許可申請時に必要となります。

申請後数か月経過した時点で再度残高証明が必要となります。

 

まとめ

開業資金についてをできる限り詳しく説明しました。

あなたは「なんだそんなもんか。」と思うより「そんなに必要なの?」と思われたのではないでしょうか?

運送業を開始しようと思われると、最初にトラックや車庫についての費用を思い浮かべるのが普通かもしれません。

ですが、どんな事業でも人件費が一番頭を悩ますことにも目を背けてはいけません。

 

一般貨物自動車運送事業の許可要件で人件費は6か月分用意しないといけないからなのでしょうか?

実際の業務でも月末締め翌々月末払いの60日サイトという会社が殆どだと思います。

ですが、2か月分ギリギリしか用意していないと、自転車操業になりがちです。

せっかくあなたの事業に協力してくれている仲間に、給料を待って欲しいとは言いにくいでしょうし、仲間から不信感を抱かれるかもしれません。

ある程度の余裕を持った資金計画は必要になってくるでしょう。

 

そこで全然必要金額に届かないからと諦めるのではなく、どうやって捻出するかを考えていきましょう。

実際に事業を始めていけば同様の悩みは度々訪れると思います。

各種金融機関からの融資などは綿密なプランを立てると創業融資も受けやすいです。

あなたの仕事に対する情熱は周りに伝わり、あなたの本気に周りは動かされます。

 

PAGE TOP