あなたは「そろそろ増車しちゃおうかな?」なんて思ったりしているかもしれません。
そこで気を付けてほしいのは、まず様式が変更されている点です。
その次に気を付けてほしいのは、届出で済んでいた手続きが認可に変わる可能性を秘めたということです。
届出と認可って何か違うの?とあなたは思ったかもしれません。
ここではそれらの意味はもちろん、今後の増車手続きをする際の注意点を分かりやすく説明していきます。
事業者様はもちろん、手続きを頻繁にされる車屋さんも役立つ知識かと思うので、ぜひ一読してください。
Contents
届出と認可の違い
ちょっとうっとうしいかもしれませんが、法律の条文を交えて説明していきます。
届出
行政手続法という馴染み薄い法律があるのですが、届出について説明しているんです。
第2条 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(以下略)
第37条 (前部分省略)当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
簡単に説明すると「書類に不備が無ければ提出したら完了」の手続きなんです。
更に噛み砕いた言い回しとしては、お役所にお知らせすることと考えてもらって差し支えないです。
認可
公の機関が第三者の行為を補充して、その法律上の効力を完成させる行政行為
という意味ですが、なんのこっちゃかサッパリだと思うので、簡単に説明させてもらうと役所が「お墨付き」を与えることだと思ってください。
これは要件が整っていれば必ず認可してもらえます。
似たような言葉に許可とありますが、これは元々が禁止されている行為を解除してもらうと捉えてもらって結構です。
宣誓書
今後の増車手続きをする際、宣誓書を添付する必要が出てきました。
中身を見てもらうとわかるかと思いますが、見慣れない文言がいくつか書いてありますよね。
これに「はい」か「いいえ」のチェック欄も付いています。
中身はと言うと下記のような内容になっています。
1 貨物自動車運送事業法第5条第3号に準ずる密接な関係を有する者が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過しない者である。
密接な関係を有する者について
- 議決権(株式)の過半数を所有する者(株式会社である場合に限る)
- 子会社である場合に親会社で資本金の半分以上を出資している者
- 上記に掲げる者と同等以上の支配力を有すると認められるもの
と定められています。
その密接な関係を有する者が一般貨物自動車運送事業の取り消しを受けていた場合、その取り消しの日から5年を経過していない場合は「はい」にチェックを付けます。
2 変更に係る営業所における行政処分の累積違反点数が12点以上である。
ご存じかと思いますが、一般貨物自動車運送事業者は車の運転免許のように点数制度が用いられています。
その点数が12点以上の場合、「はい」にチェックを付けます。
累積違反点数についてはコチラで詳しく説明しています。
3 変更に係る営業所について、申請日前1年間に、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う巡回指導による総合評価において、「E」の評価を受けている。
あなたも一度は受けたことがある巡回指導ですが、指導終了後にA~Eまでの評価がなされるのです。
37項目をチェックし、その判定によって評価を受けることになります。
- A:90%以上
- B:80%~90%未満
- C:70%~80%未満
- D:60%~70%未満
- E:60%未満
なかなかE判定評価の事業者さんは多くないと思いますが、もしE評価を受けてしまっていたら「はい」にチェックを付けてください。
巡回指導についてはコチラで詳しく説明しています。
4 変更に係る事業用自動車の数と申請日前3ヶ月以内において増加した事業用自動車の数との合計が、申請日から起算して3ヶ月前時点における同一営業所に配置する事業用自動車の数の30%以上となる。(当該合計が10両以下であるときを除く。)
これに関しては下記を参考にしてください。
- 10台→12台(2台増車)の場合=20% 届出(30%未満)
- 10台→15台(5台増車)の場合=50% 届出(30%を以上だけど10台以下)
- 37台→48台(11台増車)の場合=29% 届出(11台以上だけど30%未満)
- 36台→47台(11台増車)の場合=30% 認可(30%以上で11台以上)
上記4項目に全て「いいえ」を付けられる場合は届出で済みます。
その場で連絡書を発行してもらえることでしょう。
しかし、1つでも「はい」を付ける場合は認可申請となってしまうのです。
つまり、連絡書の即時発行をしてもらえなくなるのです。
注意点
それでも増車はできる
手続きが面倒になっただけで、決して上記4項目に引っかかったからといって増車ができなくなるわけではありません。
冒頭で説明した通り、認可は要件さえ整っていれば必ず認可を与えられる手続きです。
期間
中部運輸局では認可までの審査に1週間程度と記載されていますが、全国統一ではないはずですので注意が必要ですね。
まとめ
長々と説明を書いていましたが、書いててウンザリしました。
ここ数年のコンプライアンスの強化された風潮、特に勤怠管理に神経をすり減らしているあなたには悲報だったかもしれません。
全く関係ないかもしれませんが、諸々の様式が全国統一様式に変わってくれて、若干ありがたい改正ですが、正直どっちでもいいです。
それでもやはり残った者勝ちなのか、みんなで我慢比べなのかは何年か何十年か経過しないと答えは分からないでしょう。
それでも私個人的には運送業は無くならない業種だと思っていますし、需要に対して供給が追い付かない状況が見込まれますし、やはり何年後かには「やってて良かった」と思える日がくると信じております。