突然ですが、あなたはこれから貨物利用運送事業を始めようとしているかもしれません。
もしかしたら、始めようと思い情報収集している最中かもしれません。
どちらにしても、貨物利用運送事業を始めるのに必要な要件を確認していることでしょう。
では、貨物利用運送事業を始めるのに、どのような要件を求められているのかご存じですか?
大きく分けて財産・場所・人の3要件が必要となってきます。
ここでは、その3要件を分かりやすく丁寧に説明していきます。
先ずは一読してください。
あなたが貨物利用運送事業を始める際の要件に適合するかを確認できることをお約束します。
それでは確認していきましょう。
Contents
財産的要件
貨物利用運送事業法施行規則という利用運送を始める際の要件などを定めた規則があります。
この7条に記されておりますが、300万円以上の資産を保有していることとされています。
この資産を何で証明するかと言うと直近会計年度の貸借対照表となります。
既に営業されている場合は資産-負債の額が300万円以上でも大丈夫です。
設立直後で決算を迎えていない場合は、設立時貸借対照表の提出で大丈夫ですが、もちろん資本金が300万円以上必要となります。
実際に300万円と言われると、結構な金額かとは思います。
ですが、実務の視点で見ると「それだけでいいの?」とあなたも思うかもしれません。
場所的要件
これは当然と言えば当然と思われるでしょうが、営業所が必要です。
貨物の保管が必要な場合は、保管能力や貨物の盗難防止を講じる必要もあります。
詳細なルールを定めているので解説していきます。
使用する権利を有していること
あなたが営業所を使用する権利を証明する必要が出てきます。
その場合に自己所有と賃貸で証明する方法が変わってきます。
- 自己所有:発行後3ヶ月以内の登記簿謄本等
- 賃貸:契約期間が概ね1年以上の賃貸借契約書
となっております。
1年未満の賃貸借契約をなかなか結ばないかとは思いますが、もしそのような短期契約を結んでいても自動更新の記載があれば大丈夫です。
あなたは「自宅(賃貸マンション等)を営業所にできないのかな?」と思っていたりしませんか?
おそらく自宅として借りているので、賃貸借契約書の使用用途という欄を見ていただくと”居住”となっているかと思います。
大家さんと相談して営業所として使用することを認めてもらった上で、使用用途を変更してもらったり、使用承諾書をもらうなりして対応してもらいましょう。
関係法令に抵触していない
様々な法律に適合させる必要があります。
どのような法律があるのでしょう?
都市計画法
市街化調整区域ではないこと。
ちなみに市街化調整区域とは”原則として建物を建ててはいけませんよ”とされている地域です。
農地法
営業所として使用する際、あなたは登記簿を確認する必要があります。
登記簿の地目が”宅地”や”雑種地”であれば問題ありません。
しかし、地目が”田”や”畑”であると、通常は営業所として使用することができないのです。
規模
”事業の遂行上適切な規模であること”と定められています。
あなたは「適切な規模ってどの程度?」と思われたかもしれません。
静岡県では10㎡以上という数値を示しております。
具体的な数値を示していない地域もありますが、机、椅子、電話等の通常営業できる設備が備わっていれば大丈夫です。
保管施設
先程も少し触れましたが、貨物を保管する場合は上記の使用権原や関係法令に適合している必要があります。
また、盗難防止にも努めなければなりません。
人的要件
あなたが欠格事由に該当していた場合は登録を拒否されてしまいます。
欠格事由とはどのようなものでしょうか?
- 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられその執行を終わり二年を経過しない者
- 利用運送の登録を取り消され二年を経過しない者
- 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
- 法人であって、その役員が1.2.3に該当していないこと
- 省略
- 適切な営業所を持たない者
- 登録申請時に300万円用意できない者
このような項目にあなたが一つでも該当すると登録できません。
まとめ
貨物利用運送事業に求められる要件は3つしかありません。
欠格要件に該当するのはレアケースだとして、営業所が稀に厄介な時があります。
不動産屋に勧められるがままに契約をしたら、実は市街化調整区域だったなんてことは避けたい話ですよね。
それから金銭的な部分についてですが、本文でも触れたように実務視点では僅かな金額とも言えます。
あなたがバリバリの水屋であれば数日で叩きだす金額だと思えるからです。
ですが、他の業種と比較すると利用運送は利益率が低い為、売り上げばかりが上がるかもしれません。
最初のうちは自転車操業に陥ることもあるでしょう。
ですが、あなたならそこを乗り切って軌道に乗せることも可能でしょう。
あなたは、もう使われる側でも使う側でもなく、独立をそろそろ考えてみてはいかがですか?