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介護タクシー | 4つの許可要件を確認

 

突然ですが、あなたは介護タクシー事業をはじめようと思っていませんか?

はたまた、単純に介護タクシーをはじめるには何が必要かを調べているだけかもしれません。

どちらにしても、開業をするのにどのような許可要件となっているのか情報収集している状態かと思います。

 

まず、介護タクシーをはじめるには許可を取得しなければなりません。

この許可と言っても要件が事細かに定められているのは言うまでもありません。

およそ4つの大きな要件に分けられていると思っておいてください。

 

4つの要件は

  1. 場所
  2. お金

と大別することができます。

 

ここでは一度に細かいことを説明するような形式ではなく、ざっくりと分かりやすく簡潔に4つの要件を説明していきます。

これからはじめようと思っているあなたは、身近なことを想像しながら読むと更に分かりやすいかと思います。

先ずは一読してください。

 

それでは確認していきましょう。

 

Contents

車の要件

介護タクシーを始めるにあたって、車の要件と言っても単純ではありません。

必要車両数

トラック運送業などは最低5台も用意しなくてはなりませんが、介護タクシーは1台からでも始めることができます。

比較的少ない資金で始めることができると呼ばれる所以でしょうか。

 

使用する権原があること

当たり前のような話かもしれませんが、あなたが所有する車でなければ認められません。

他人から借りた車両で介護タクシーを始めることができないのは言うまでもないでしょう。

基本的には車検証で確認されることとして、所有者があなたの名義になっていなくてはなりません。

ですが、リース車両の場合はあなた名義でなくても大丈夫です。

 

使用車両の種類

介護タクシーに用いることができる車両は2種類あります。

  • 福祉車両
  • 一般車両

それぞれの違いなどを確認してみましょう。

福祉車両

福祉車両と言うと、あなたは車イスに乗った状態で積載される車両を思いつくのではないでしょうか?

それも福祉車両ですが、その他にも助手席がリフトアップされるような車両もありますし、他にもまだまだあります。

これは見た目で判断するのではなく、車検証で判断します。

用途という欄があり、”特種”と表記されています。

一般車両

一般車両というと自家用車を指します。

介護タクシーの許可申請手引きなどではセダン型と書かれることが殆どです。

ですが、あなたが想像するセダンである必要はありません。

2ドアのスポーツカーでも1ボックスタイプでも全て一般車両ですので安心してください。

 

あなたが介護タクシーを始めるのに車両の購入を検討されているかもしれませんが、それぞれにメリット・デメリットがもちろんあります。

 

保険

保険と言っても自賠責保険だけでは足りず、任意保険に加入しなければなりません。

あなたは「任意保険なのに強制加入?」と思ったかもしれませんが、お客様を乗せる以上は諦めてください。

任意保険なら何でもいいのかと思われたことと思いますが、一定以上の補償を備えていなければなりません。

  • 対人:8,000万円
  • 対物:200万円

これが最低要件となっていますが、実際は何かあった場合はこの金額では賄いきれないのはお分かりかと思います。

 

人の要件

意外と人、むしろ資格要件は多くを求められているかもしれません。

どのような要件なのでしょう?

2種免許

あなたが普段運転される免許は1種免許と呼ばれるものです。

これの2種免許を取得している人が1人は必要となります。

2種免許を簡単に説明すると、「お客様を乗せて走ることができる免許」です。

当然、タクシーの運転手は全員持っています。

福祉車両でも一般車両でも、どちらを用いる場合でも2種免許所持者が必要です。

ですが、あなたが所持する必要はありません。

運転手が所持していれば良いので、2種免許所持者を雇用する予定でしたら問題ないでしょう。

運行管理責任者

運行管理責任者というポジションが必要になります。

あなたは「何をする人なの?」と思ったかもしれません。

  • 運転手の乗務割の作成
  • 睡眠・休憩施設の保守
  • 運転手の指導監督

上記のような運行の安全を確保する業務をこなす人を選任する必要があります。

実はこれ運行管理者という国家資格があるのです。

残念ながら運送業の方は、同じ運行管理者でも貨物なので適任ではなかったりします。

旅客の運行管理者と貨物の運行管理者は地味に違うのです。

ですが、安心してください。

保有車両台数が4台までなら国家資格者は不要です。

逆を言えば5台以上なら国家資格者が必要となりますので注意が必要です。

整備管理責任者

これはあなたの予想通り、車両の点検・整備をする人を指します。

気になる整備士資格なのですが、運行管理責任者と同じで、保有車両台数が4台までなら国家資格者は不要です。

同様に5台以上は国家資格者が必要となります。

指導主任者

事故防止や事故処理体制を指導するポジションも定めなくてはなりません。

苦情処理責任者

クレーム対応の窓口を選任する必要もあります。

 

上記のポジションは全て兼任が認められています。

つまり1台1人での営業も可能というわけです。

 

欠格要件

過去に犯罪を起こしたりすると許可を得られません。

あなたが法人で、その役員が一人でも欠格要件に適合していたら同様に許可を得ることができません。

 

場所の要件

場所と言っても大きく分けて営業所(休憩施設含)と車庫を設ける必要があります。

営業所

営業所の要件とはどのようなものがあるのでしょう?

営業区域

あなたが仮に静岡県で始めようとした場合、発着のどちらかが静岡県でなければなりません。

当然、営業所は静岡県内に置かなければなりません。

法令に抵触していないこと

営業所の建物・土地が関係法令に抵触していないことを求められています。

  • 建築基準法
  • 都市計画法
  • 消防法
  • 農地法

等、様々な法令に適合させなければなりません。

安易に不動産屋の言葉を信じて痛い目を見ることがないようにしたいものです。

使用する権原

あなたが営業所を設置する際、自己所有建物と賃貸と2パターン考えられます。

それぞれに使用する権原を証明する必要があるのですが

自己所有:登記簿謄本

賃貸:3年以上の賃貸借契約を証する書面

上記のようなもので、使用する権原を証明しなくてはなりません。

賃貸の場合、3年以上の契約を結んでいなければ自動更新の記載があれば大丈夫です。

規模

地域によって何㎡といった数値が定められていたり、定められていなかったりします。

ここで言う規模とは、通常の事務作業をするのに必要な機器や什器があれば大丈夫です。

 

休憩施設

ドライバーが快適に使用できる休憩施設を設ける必要があります。

休憩施設にも要件がありますので確認していきましょう。

距離

原則として営業所、もしくは車庫と併設されることが望ましいとされています。

併設が難しい場合、営業所若しくは車庫から直線距離で2km以内に設置すれば良いとされています。

地域によって多少ルールが違う場合がありますのであしからず。

また、営業所と併設する場合は明確に事務スペースと休憩スペースを分ける必要があります。

違う部屋であれば問題ないのですが、同一の部屋などの場合は間仕切りなどを置きましょう。

規模

営業所の要件と重複しますが、この場合はフトンを一組敷けるスペースを目安としましょう。

使用する権原

法令に抵触していないこと

上記2点は営業所の要件とほとんど変わりません。

 

車庫

車庫にも要件があります。

どのように定められているのでしょう?

距離

原則として営業所と併設されていることを求められています。

もちろん原則には例外があって、営業所から直線距離で2km以内にあれば大丈夫です。

間隔

コンビニやスーパー等の駐車場で車イススペースを想像してください。

普通車を停めるスペースよりも大き目にとっていることが分かるはずです。

実は前後左右に50cmの間隔が取れなければならないのです。

50cmのスペースが取れるのであれば、点検・整備ができる広さを有していることともみなされます。

専用スペースの明確化

介護タクシー以外を停めることはできません。

使用する権原

法令に抵触していないこと

上記2点は営業所の要件とほとんど変わりません。

車両制限令

車庫の出入り口に面する道路(以後前面道路と呼びます)の広さが一定以上を求められています。

あまりに狭い前面道路だと使用許可がおりない可能性があります。

役場等で道路幅員証明書というものを取得し、その証明書で広さを証明する必要があります。

ですが、前面道路が国道であれば幅員証明書は不要となります。

 

お金の要件

介護タクシーの許可を取得するのに必要な金額は一律いくらとは定められておりません。

というのも1台で始める方と数台で始める方では必要資金が違うのは明確だからです。

あなたが開業する際の規模で一定期間運営できる資金が必要となります。

計上する項目は

  • 車両費
  • 土地費
  • 建物費
  • 機械器具及び什器備品
  • 運送費・管理経費
  • 各種保険料
  • その他創業費

といった内容です。

それらの”所要経費の50%以上かつ事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金”が必要とされています。

所要経費とは?

車両を一括で購入する場合はその全額、ローンやリースであればその1年分。

また、営業所や車庫を借りるのであれば、その賃料の1年分。

雇用をするのであれば人件費の2か月分。

自賠責保険や任意保険等の各種保険料の1年分。

これらを合算して50%以上の自己資金額を求められています。

事業開始当初に要する資金とは?

こちらは開業してから必要になる経費の2か月分を求めています。

具体的には車両がローンやリースであれば割賦金額の2か月分

同じく営業所や車庫が賃貸であれば賃料の2か月分といった具合です。

 

その他

地域によって法令試験というものがあります。

この法令試験を受けて合格しないと介護タクシーの許可が得られないのです。

出題範囲は

① 道路運送法
② 道路運送法施行令
③ 道路運送法施行規則
④ 旅客自動車運送事業運輸規則
⑤ 旅客自動車運送事業等報告規則
⑥ 自動車事故報告規則
⑦ その他一般旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令等

上記のように、もの凄くアバウトな範囲を示しているにも関わらず、30問中24問正答しないと不合格となります。

あなたが関東地域であればこの試験はないので安心してください。

その他の地域の方は、最寄の運輸支局に問い合わせてみましょう。

 

まとめ

手短に説明させて頂いたつもりでしたが、かなりのボリュームとなっていますね。

ですが、この内容だけですと説明不十分で、更に細かく要件は定義されています。

そんな事を言うとあなたはウンザリするかもしれません。

ですが、そこはお客様を乗せる以上ある程度厳しい要件を求めているのは仕方のないことでしょう。

 

しかし、1人1台で営業開始することもできます。

その場合、2種免許も取得しなければならないでしょうし、ある程度の資金も確保しなければなりません。

ですが、今後需要が見込めるサービスであることは間違いありません。

 

需要というと営利と思いがちですが、介護タクシーを必要としている人がいるのは間違いありません。

人から感謝された結果として利益が出たら素敵なことではないでしょうか?

機会があるなら、あなたに参入して頂きたいと思います。

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