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一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 人編

おそらくあなたは「人の要件って頭数揃えて運行管理者が1人いれば十分なんじゃないの?」と考えてはいませんか?

ほぼ正解なのですが、整備管理者も現在社内に1人は必要となり、あなたが欠格事由に該当していたら一般貨物自動車運送事業の許可もおりません。

旅客事業で重大事故が相次いだことにより、運送業にも少なからずその影響は波及しています。

その影響を受けて、運行管理体制は年々規制を厳しくという動きが増えているのも事実です。

 

一般貨物自動車運送事業の許可要件として、最低人員は6人以上と定められています。

それより多い人数であれば問題ないのですが、6人を下回ると一般貨物自動車運送事業の許可は取得できません。

 

ここでは具体的にどのような要件が定められているのかを説明していきます。

トラックを運転する際にドライバーがいなければ話にならないので、要件は詳細に定められています。

もちろん、要件をクリアできなければ一般貨物自動車運送事業の許可は取得できません。

 

ここでは一般貨物自動車運送事業の許可要件である人に関して、国土交通省・関東運輸局の公示を元に、専門用語を使用せず、できる限り分かりやすい言葉で説明していきます。

あなたが頭数に入れた人員で、一般貨物自動車運送事業の許可要件に適合しているかを確認する判断基準になることをお約束します。

 

それでは一つ一つ確認していきましょう。

 

Contents

運行管理体制

(1) 最低車両台数が5台と定められていますので最低人員も5人+運行管理者とすること。

まず貨物自動車運送事業輸送安全規則という規則があるのですが、第3条が「過労運転の防止」を定めた内容となっております。

そして条文は下記のような内容となっています。

 

1項 一般貨物自動車運送事業者等は、事業計画に従い業務を行うに必要な員数の事業用自動車の運転者(以下「運転者」という。)を常時選任しておかなければならない。

先ず必要最低車両が5台以上と定めておりますので最低でもドライバーは5人必要で、常時選任ということは雇い入れておかなければならないと述べています。

 

2項 前項の規定により選任する運転者は、日々雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)であってはならない。

そして、派遣などの必要な時だけトラック乗務するような形態や、2か月以内の雇い入れ又は試用期間中(14日以上使用されていれば可)ではダメですよと述べています。

ただ、人材派遣という手法は認められていたりします。

 

上記内容に適合せよと一般貨物自動車運送事業の許可要件となっておりますので、簡単に説明しますと

  • ドライバー5名+運行管理者1名=6人以上で
  • 日々雇い入れする以外の臨時ドライバーでは認められない

といったことを定めています。

 

(2) 運行管理者及び整備管理者を確保すること。

運行管理者

どうすれば国家資格である運行管理者資格を取得できるかというと、

  1. 運行管理者試験に合格する。
  2. 一定の実務の経験その他の要件を備える。

とありますので説明していきます。

運行管理者試験に合格する

下記のどちらかの受験資格が必要です。

  • 運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
  • 実務の経験に代わる講習を修了した者。

そして試験の種類は旅客、貨物の2種類がありますが、もちろん一般貨物自動車運送事業であれば貨物となります。

試験科目は道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、労働基準法などの法令等並びに運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力について出題されます。

[問合せ先]
試験に関する問い合わせは、運行管理者試験センター
基礎講習に関する問い合わせは、自動車事故対策機構

 

一定の実務の経験その他の要件を備える

自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件があります。

運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。

講習を初めて受ける際は基礎講習を受けなければなりませんので、基礎講習1回+一般講習4回=5回という計算で大丈夫です。

 

ですが、取得方法に違いはありますけれども現実的には運行管理者試験を合格している方を探す方が近道だと思います。

 

整備管理者

以前は修理工場等で良かったのですが、現在では社内に一人は選任しなければならなくなってしまいました。

ではどうすれば整備管理者として選任できるかというと

  1. 3級以上の自動車整備士資格を取得している者
  2. 2年以上トラックの整備・点検等の経験があり、且つ”整備管理者選任前研修”を修了している者

となります。

3級整備士資格を持っていなくとも、2年以上の整備経験者を整備管理者にすることが多いかと思います。

具体的に2年以上の整備経験とは、自動車の点検または整備に関する実務経験を指します。

  • 整備工場やガソリンスタンドでの整備経験
  • 運送業の整備実施担当者
整備実施担当者:ドライバー経験がある方は必ず点呼を取っていたはずです。
その際に並行して車両の日常点検をしているかと思いますので、その年数がカウントできます。
それを証明しなければなりませんが、従事していた会社にて実務経験証明書という書式にハンコを押してもらいます。

 

そして更に実務経験を証明できる方が”整備管理者選任前研修”を受講して、その修了証を取得する必要があります。

修了証を取得できれば晴れて整備管理者として選任することができるのです。

 

ちなみにドライバーが運行管理者となることはできませんが、整備管理者になることはできます。

そして運行管理者と整備管理者は兼任できます。

ということは最低でも「運行管理者(1名)+ドライバー(整備管理者兼任者含む5名)」若しくは「運行管理者兼整備管理者(1名)+ドライバー(5名)」と6人は必要となるわけですね。

 

(3) 勤務時間、休息時間、休日が適切なものであること。

勤務時間(拘束時間・運転時間)、休息時間、休日等を適切に定めよと述べています。

労務管理に関しては別に触れることとしますが、巡回指導等での重要項目の一つです。

(4) 運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。

指揮命令系統をキチンと定めておかなければなりません。

運行管理体制では誰からドライバーへの指示を出すのか、事故の際には誰から警察へ連絡をするのかといった命令系統を図にしておく必要があります。

 

(5) 車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること。

点呼と言えば通常は乗務前・乗務後の面前点呼が普通ですが、運行体系によっては携帯電話でも構いません。

またアルコールチェックも義務化されましたので、点呼時にはアルコール検知器での酒気帯びの有無の確認も必要となっております。

それらをキチンとするよう定めています。

ちなみに私が点呼をしていた時は、アルキラーという携行型の検知器をドライバーが全員持っていたので凄く楽をさせてもらっていました。

 

また、泊まり運行を予定している場合は携行型アルコール検知器を用意する台数も検討しなければなりません。

(6) 社内安全講習会等を開き、重大事故が発生時は運輸支局にキチンと報告すること。

定期的に社内安全講習会等を開いてドライバーに安全指導をするよう定めています。

そして、あってほしくないことなのですが、比較的、重大事故が起きた場合は、30日以内に運輸支局等に報告する義務があるので、その体制を整えておくことを定めています。

 

(7) 危険品の運送を行う場合、取扱い資格者が確保されていること。

危険物などを輸送する際ドライバーがそれ相応の危険物資格を所持していなければならないと定めています。

 

その他

貨物自動車運送事業法 第5条で欠格要件というものを定めているのですが、

  • 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
  • 一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者

等を定めています。

これらに該当する場合、一般貨物自動車運送事業の許可は取得できません。

 

また、従前は常勤役員だけに課されていた各種処分の欠格期間などが、すべての役員と拡大されるようになりました。

 

まとめ

あなたは「あと1人どうしても足りないんだけど。」という状況かもしれません。

はたまた「運行管理者がどうしても見つからない。」と頭を抱えているかもしれません。

それぞれに悩みがある状況に水を差すようで申し訳ないのですが、一般貨物自動車運送事業の許可要件を満たせないと運送業は開始することはできません。

 

超高齢社会が進み、ドライバーの高齢化も運送業界内では進んでいます。

中型免許制度がスタートしてから、若年者の運送業離れも進み、今後はドライバーの確保も難しくなることが予想されます。

実際に20代のドライバーを抱える運送会社は現在少なくなっております。

 

ですが、発想の転換をして人材をキチンと確保できれば後々に強みになるのも事実です。

知人のツテを頼るのもいいでしょう。

最初の手段としては人材派遣を使うという選択肢もあるでしょう。

専門家に相談すると良いアイデアを授けてくれるかもしれません。

方法は様々なので、あなたに合う探し方をしてみてください。

そしてあなたに良いご縁がありますように。

 

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