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貸切バスの知識 | 巡回指導について徹底解説

Shanghai, China

あなたもご存じかと思いますが、昨今道路運送法が改正されました。

改正ポイントの一つとして”監査機能の補完・自主的改善の促進”というものがあります。

 

抽象的で分かりにくい内容ですね。

具体的には適正化機関を定め、巡回指導を実施していくものとされています。

 

ここでは適正化機関についての説明や、巡回指導の目的や対象などについて分かりやすく丁寧に説明していきます。

これを読むことで、あなたの巡回指導についての知識が補完されることをお約束します。

先ずは一読してください。

 

それでは確認していきましょう。

 

Contents

適正化機関

適正化機関とは?

それまでにも道路運送法には適正化機関がバス事業者に対し巡回指導をはじめとする適正化事業を行い、事業者の法令遵守を促進する仕組みはありました。

しかし、仕組みはあっても適正化機関そのものがなかったのです。

その間に重大事故が頻発し、今般の法改正により設置されるはこびとなったわけです。

設置

現時点で適正化機関は、地方運輸局の管轄区域等ごとに、地方バス協会等が設立する法人や地方バス協会自身が適正化機関として指定されています。

事業内容

基本的には7項目あるとされています。

指導

適正化機関の指導員が事業者の営業所に立入り、法令遵守状況を確認し、注意喚起及び改善指導を行う。

啓発

昨今増加する外国人観光客を含めた利用者に対し、白バス行為に対する注意喚起のキャンペーンの実施。

また、自家用車による営業類似行為の防止を図る。

広報

事業者に対し、事故事例の紹介・注意喚起。

下限割れ運賃により安全投資の削減を防止するため、運賃の遵守に係る啓発。

苦情処理

利用者からの苦情の受付や調査、事業者に対する改善指導の実施。

情報提供

事業者による過労運転等の法令違反行為を確認した場合、改善点を通知するとともに地方運輸局等に対しての情報提供を行う。

さらに、輸送の安全に係る法改正等があった場合に、その内容の周知徹底、法令遵守のために講ずべき措置の内容等について情報提供を行う。

研修

安全確保の向上を図るほか、運転者不足問題に対処するため、以下のような事業を行う。

  • 運転技術、マナー等を向上させるための実技研修等の共同実施。
  • 運転手希望者に対し、大型2種免許の取得支援。
  • 人材確保のための合同就職説明会等の開催支援

秩序の確立

観光バスの路上駐車問題に伴い発生する、安全面・サービス面の課題等に対処するため、以下のような事業を行う。

  • 貸切バスの運転手が一時待機中に車両を駐車し、休憩できる施設の確保。
  • 貸切バス利用者のための共同乗降場の設置。
  • 共同乗降場の整備(待合室、トイレの設置等)

 

巡回指導

ここからは巡回指導についての説明をしていきます。

目的

世間に衝撃を与えた軽井沢スキーバス事故を踏まえ、悪質事業者の国への通報及び法令遵守状況の継続的な確認をすること。

またそれを通じて、国の監査機能を補完し業界の樹種的改善を促進。

それらを総合的に勘案し、貸切バス事業における事故防止を徹底し、安全意識の向上を目的としています。

対象の決定方法

適正化機関は地方運輸局等から監査対象事業者が記載された計画の提供を受けるとされています。

これを精査し、監査対象事業者以外を巡回指導の対象として、地方運輸局等と意見交換を行い、巡回指導の対象となった事業者の中から優先的に巡回指導を実施すべき事業者を決定していきます。

 

また、巡回指導対象事業者を決定するにあたり、下記の安全に対する取り組み等を総合的に考慮するものとされています。

  • 過去の事故歴、行政処分歴
  • 貸切バス事業者安全性評価認定
  • 運輸安全マネジメント評価
  • 利用者等からの苦情
  • ASV車両の導入状況 等

体制と頻度

原則として、適正化事業指導員2名1組で事業者の営業所を直接訪問して実施します。

そして、全てのバス事業者に対し毎年度1回実施するものとされています。

例外として国が監査を実施した、又は実施する予定の事業者は除くともされています。

 

軽減措置もあります。

巡回指導の結果、貸切バス事業者安全性評価認定及び運輸安全マネジメント評価等が勘案されます。

そして優良であると認定された事業者は毎年度1回を最大で2年間に軽減されます。

対象事項

巡回指導の対象となる事項はどのようなものでしょう?

  • 許可、認可、届出等に係る事項の実施状況
  • 貸切バスの運行状況
  • 車両管理及び施設状況
  • 労務状況
  • その他巡回指導の目的を達成するために必要と認める事項

が挙げられています。

確認方法

巡回指導の方法は以下のような内容です。

実施通知

予め適正化機関による巡回指導が実施される旨の通知があります。

指導(点検)

指導(点検)項目は別途、巡回指導マニュアルによる項目を基本にされます。

その評価基準に基づき”適””否”と判定されます。

省略

巡回指導の対象事業者が巡回指導の実施前1年以内に貸切バス事業者安全性評価認定を受け、且つ優良評価を受けている項目については省略することができるとも定められています。

改善指導

巡回指導終了時に講評を行うこととされています。

そのなかで結果が”否”と判定された項目については、その場で改善指導されるとともに「改善要請書」が交付されます。

改善報告

”否”と判定されて項目があった場合、巡回指導から30日以内に関係書類を提出させられます。

評価方法

巡回指導時において”適”または”否”の割合に応じて評価結果をA~Eに分類されます。

  • A:適の割合が90%以上
  • B:適の割合が70%以上90%未満
  • C:適の割合が50%以上70%未満
  • D:適の割合が20%以上50%未満
  • E:適の割合が20%未満

また、正当な理由がなく巡回指導を拒否した場合は問答無用でE評価となります。

監査

巡回指導により法令違反が確認されると改善報告を求められます。

これを行わない、又は未改善のままでいると適正化機関から地方運輸局に対して報告がされます。

 

また、重大な法令違反等が見つかった場合、直ちに地方運輸局へ報告がされます。

具体的には

  • 正当な理由なく巡回指導を拒否した
  • 重大な法令違反(運行管理者・整備管理者不在、健康診断未受診等)があった場合

この報告を受け、地方運輸局は法令違反の状況に応じて、行政処分が下されます。

従わないとどうなるのか?

これは行政処分を受けることになります。

初犯は60日車、再犯で120日車と定められています。

 

まとめ

巡回指導と監査は実施機関が異なるためなのか、多数の方が巡回指導を軽んじる傾向にあります。

ですが、適正化機関と地方運輸局は密接な関係にあることもお分かりいただけたかとも思います。

 

では巡回指導の度に怯えなければならないかと言うとそうではありません。

日頃の日常業務をキッチリこなしていれば臆することは全くないのです。

更には事前に通知がきますし、僅かな期間でも改善できる部分も残されているはずです。

 

色々と厳しい業界になりつつありますが、あなたは巡回指導に怯えることがないよう、日頃の業務をキチンとこなして頂きたく思うのです。

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