あなたはもしかすると、一般貨物自動車運送事業の許可を取得しようと思っているかもしれません。
もしくはそれ以前の段階で、これから取得するのに必要な知識を詰め込んでいる最中かもしれません。
どちらにしても、どこから手を付けて良いのか分からないという状態かと思います。
その前に、あなたは本当に一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要があるのでしょうか?
許可取得の有無を先に確認してからでも遅くはないのではないでしょうか?
その確認をして、あなたが一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要があるなら、様々な要件をクリアしていかなければなりません。
そして、費用も期間も、あなたが思っている以上にかかることと思います。
そのように、あなたが、一番最初に読んで欲しい、許可取得の必要性の有無や、許可要件、そして手続きの流れや、申請期間等を分かりやすい言葉で丁寧に解説していきます。
先ずは一度読んでください。
一般貨物自動車運送事業の許可を取得するのに必要な知識が得られることをお約束します。
それでは確認していきましょう。
Contents
一般貨物自動車運送事業とは
そもそも、一般貨物自動車運送事業とはどのように定義されているのでしょう。
①荷主より依頼を受けて
②有償で荷物を運ぶ
上記の2つとも該当すれば、全てこの事業にあてはまります。
この事業にあてはまるのであれば、一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要があります。
逆を言えば、その2点に当てはまらなければ、許可を取得する必要がありません。
これだけだと説明が簡単過ぎるので、詳しく説明していきます。
あなたに許可は必要なのか、不要なのかを確認していきましょう。
許可が不要な場合の要件
自家輸送
自家輸送とは自社製品等を運ぶことのみを目的に輸送することです。
つまり、運賃が発生しないから、トラック輸送をしても一般貨物自動車運送事業とはならないわけですね。
軽自動車
荷主の依頼を受けて運賃をもらう場合も、軽自動車であれば、一般貨物自動車運送事業の許可は必要ありません。
逆を言えば、一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際、軽自動車ではダメだと言うことです。
そこは当然、軽自動車で運送業は無許可でいいのか?とは当然なりません。
その場合貨物軽自動車運送登録という、別の手続きを踏まえる必要があります。
2輪車
バイク便などの2輪車での運送業務も、一般貨物自動車運送事業の許可は必要ありません。
これは軽自動車と同じ扱いとなる為、貨物軽自動車運送登録手続きをする必要があります。
無償にて輸送
運賃をもらわないで荷物を運ぶ。
どのようにして事業を経営していくのでしょうか?
あまり現実的には考えにくい内容ですが、無償で荷物を運ぶ場合も、一般貨物自動車運送事業の許可は取得する必要がありません。
上記4点にあてはまれば、あなたは一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要はありません。
しかし、逆を言えば、上記にあてはまらない場合は、許可を取得する必要があります。
あなたが思っている以上に、一般貨物自動車運送事業の許可を取得するには、費用も期間もかかります。
そこで、うまいこと無許可営業でいけないものかと考えたくなるのも分かります。
色々と考えを巡らせて、請求書の名目を変えるような場合はどうなるのでしょう?
そのような更に詳しい情報を確認したい場合はコチラをご覧ください。
許可が必要な場合の要件
あなたが、やはり許可が必要だったとします。
その場合、一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、大きく分けて4つの許可要件を満たさなければなりません。
1.場所の要件
2.車両の要件
3.資金の要件
4.人の要件
残念ながら、あなたは全ての要件を満たさなければなりません。
ここでは、どのような要件なのかを詳しく説明していきます。
1 場所の要件
営業所
(1) 使用する権利を有していること。
もちろん、運送会社であるからには、営業所を確保しなければなりません。
営業所は”自己所有”であっても”賃貸”であっても、どちらでも構いません。
どちらにしても、それを使用する権利を証明する必要があります。
どのように証明していくかというと
- 自己所有:建物登記簿謄本や土地登記簿謄本
- 賃貸:契約期間が2年以上の記載がある賃貸借契約書
上記の書類を提出する必要があります。
2年未満の短期契約を結んでいても、自動更新の記載があれば有効となります。
(2) 農地法 、都市計画法等関係法令に抵触しないものであること。
次に、営業所を決定する際に、どこでも良いというわけではなく、様々な法律に適合させる必要があります。
ここでは色々な法律がありますが、どのような内容なのかを説明します。
農地法
営業所として使用する際、あなたは登記簿を確認する必要があります。
登記簿の地目が”宅地”や”雑種地”であれば問題ありません。
しかし、地目が”田”や”畑”であると、通常は営業所として使用することができないのです。
あなたの所有地で、どうしてもその土地で営業をしたいというのであれば、農地転用という手続きが必要となります。
農地転用とは、簡単に言えば農地を農地以外の土地に変更する手続きです。
農地転用の手続きはある一定要件を満たしていないと費用も期間もかかることから、あまりオススメすることはできません。
それでも、どうしても農地転用が必要な場合は、専門家に相談することをオススメします。
都市計画法
有名な要件かもしれませんが、市街化調整区域では営業所を設置することは認められておりません。
簡単に市街化調整区域を説明しますと、”原則として建物を建ててはいけませんよ”と指定されている地域です。
すると、勘の良いあなたは「原則があるなら例外は?」と思ったことでしょう。
その土地が既存宅地と呼ばれる場所であれば、可能な場合もあります。
現在では法改正が進み、新たに認められることはなくなりました。
しかし、既存宅地であるかの確認も、あなたが思う以上に手間と期間がかかりますので、ここでは専門家の方に相談することをオススメします。
建築基準法
建築されている建物を営業所として使用する場合、建築基準法をクリアしてるはずなので大丈夫かと思います。
建築基準法で気を付けるのは、車庫と同一敷地内で、新たに営業所を設置する場合に注意が必要です。
これから建築業者に依頼するのであれば問題はないかと思います。
あなたが、プレハブやユニットハウスを設置しようとする場合、規模によっては基礎工事や建築確認申請が必要になります。
このような場合も、専門家の方と相談されることをオススメします。
(3) 規模が適切であること。
東京都では、営業所の大きさに関する数値が定められていません。
一般的な事務作業ができるスペースを求められています。
では、一般的と言うと、どの程度の広さが必要なのでしょう。
- 事務机
- 椅子
- 電話機
- パソコン
- 書棚
運行管理に支障がでない設備が十分収納できる広さと考えておけば良いでしょう。
営業所の要件だけでも、気を付けるべき点は多いです。
更に詳しい情報を確認したい場合はコチラをご覧ください。
一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 場所(営業所)編
休憩施設
(1)原則、営業所又は車庫に併設するものであること(例外有り)。
原則として営業所と車庫と休憩施設は併設する必要があります。
都心部などでは、それだけの広い敷地を確保することも難しい場合もあるでしょう。
そのような場合に
- 営業所+休憩施設
- 車庫+休憩施設
営業所か車庫のどちらかと併設されていれば良いことになっております。
(2)睡眠を与える必要がある乗務員1人当たり2.5平方メートル以上の広さを有すること。
ドライバーは、他業種と比較して、長時間拘束されがちなので、休憩施設を設けることを求められています。
ここでは、常時ドライバーが有効に休憩できる設備を整える必要があります。
そして全ての運送会社に、睡眠施設は必置要件ではありません。
長距離運転が多い等、運行管理上、ドライバーの休息時間が8時間以上確保できないような場合は整備する必要がでてきます。
そのような場合、2.5㎡以上の広さが確保できている睡眠施設を整えないといけません。
広さの目安としてはフトン一組を置けるスペースがあれば大丈夫です。
(3)使用する権限を有していること
営業所の要件と重複しますが、休憩施設も使用権原を証明する必要があります。
(4) 農地法 、都市計画法等関係法令に抵触しないものであること。
こちらも営業所の要件と重複しますので省略させて頂きます。
車庫
(1) 原則、営業所に併設するものであること(例外有り)。
原則として営業所と車庫は併設されていることが要件となります。
しかし、都心部などでは、それだけ広大な敷地を探すのも難しい場合も多いことでしょう。
そのような場合、東京都では、営業所と車庫の2点間を結ぶ直線距離が10km以内であれば大丈夫です。
また、特別区(23区)の場合は20km以内でも良いことになっております。
(2) 車庫の出入り口の幅が適当であること。
車庫の出入り口に面する道路(以後、前面道路)によって、出入り口の大きさが変わってきます。
前面道路が国道である場合以外は、道路幅員証明書というものを取得する必要があります。
営業所では認められていなかった、市街化調整区域でも、車庫使用の場合は可能となります。
このような場合も、市街化調整区域の車庫に営業所を併設することは認められません。
(3) 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること。
全ての車両を駐車して、隣に駐車する車と、境界からそれぞれ50cm以上が確保されてないといけません。
全車両が停められるというだけでは要件を満たしません。
そして、全車両を1か所に収容する必要もありません。
車庫は2か所以上となっても大丈夫です。
当然と言えば当然のことなのですが、車庫はトラックを停める場所である必要があります。
- 駐車スペースと通路がカブったりしない
- トラックを停めていない時に、他のものを置かない
というようなことも定められています。
(4) 使用する権利を有していること。
営業所の要件と重複しますので省略させて頂きます。
休憩施設や車庫の要件も詳細に定められています。
更に詳しい情報を確認したい場合はコチラをご覧ください。
一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 場所(車庫等)編
2 車両の要件
車両数
(1) 事業用自動車の数は5両以上とすること。
あなたは、原則として車検証の使用用途が”貨物”と記載されている車両を、5台用意する必要があります。
車検証上では貨物と記載されていても、軽自動車では要件を満たしません。
(2) けん引車は、けん引車+被けん引車を1両と算定する。
通常トレーラーと呼ばれるけん引車は、”トレーラーヘッド+トレーラーシャーシ”で1台と計算します。
残念ながら、海コン専門のドレージ屋であったとしても、同じ条件です。
また、トレーラーヘッド数に対して、トレーラーシャーシの数が多い場合でも問題ありませんし、制限はされていません。
(3) 霊きゅう運送、一般廃棄物運送等の事業においては5台以下でも可能。
車両を5台揃える必要がない業種もあります。
- 霊柩車事業
- 一般廃棄物収集運搬事業
- 離島
このような事業である場合は、「霊柩運送に限る」と条件を付されます。
事業用自動車
(1) 事業用自動車の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切なものであること。
大きさや構造が貨物に適切とは、車検証の使用用途が”貨物”であることを求めています。
今ではよく見かける乗用車でもミニバン等、大きな乗用車も多く、荷物も積もうと思えば積めるかもしれませんが、車検証上では貨物でないと使用できません。
(2) 使用する権利を有していること。
車両の使用権原については、
(ア)自社保有車両により確保する場合は、自動車検査証(写)
(イ)購入による場合は、車両売買仮契約書(写)等
(ウ)リース契約による場合は、契約期間が概ね1年以上であるリース契約書(写)の提出をもって使用権原を有するものとする。
使用形態によって、上記のような方法で証明する必要があります。
あなたが車検証上の”所有者”・”使用者”である必要はないのですが、記載されていない場合は、上記のような書類をもって、使用権原を証明しなければならなくなります。
やはり、車両に関する要件も一口では説明しきれません。
更に詳しい情報を確認したい場合はコチラをご覧ください。
3 資金の要件
(1) 自己資金
具体的な金額が定められていれば良いのですが、開業する規模によって、必要とされる金額が違います。
一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際の申請書の一つに”事業の開始に要する資金及び調達方法”という様式がありますので、その様式に具体的な金額を記載する必要があります。
おおまかに分けると、
1年分:保険料・各種租税公課・車両費・建物費・土地費
6か月分:人件費・燃料油脂費・修繕費等
2か月分:その他(道路使用料、光熱水料等)
一括:登録免許税・その他
上記を合算した金額が、必要とされる資金となります。
ザックリとではありますが、説明していきます。
1年分
保険料
ここでの保険料は車両にかかるものを指します。
自賠責保険・任意保険(対人無制限、対物200万以上)の1年分×車両数となります
各種租税公課
一般的には、自動車税+自動車重量税(+自動車取得税)の1年分×車両数となります。
車両費
トラックを一括で購入する場合は、その全額が必要となります。
それ以外のローンやリースを検討されている場合、毎月の支払金額×車両数×12か月分となります。
建物費・土地費
営業所・車庫・休憩施設にかかる費用を指します。
こちらも車両同様、一括購入する場合は、その全額が必要となります。
購入する場合でも、ローンを組む場合や、賃貸する場合は、毎月の支払分×12か月分となります。
6か月分
人件費
あなたが会社を設立する場合は「役員報酬」を、それ以外にも「給与」「手当」「賞与」「法定福利費」と分かれ、全て合算した金額の6か月分となります。
法定福利費は更に、「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「労災保険料」と4つに分かれ全て合算します。
細かい話になりますが、厚生福利費 (給与+手当+賞与)×2%というのも計上する必要があります。
燃料油脂費
実走していないので、おおよその予測で計上する必要があります。
車両1台辺りの月間予想走行距離×車両1台辺りの予想燃費×燃料単価×車両数×2か月分となります。
更に、オイル交換やグリスアップも想定した油脂費というものも計上する必要があり、燃料費×3%となります。
修繕費
修理工場やディーラー等でかかる費用を「外注修繕費」。
マーカーランプの交換等、自社での簡単な修繕や、スペアパーツ等の部品費を「自家修繕費」。
1年で使用するタイヤを月額に均等し、それの6か月分を計上する「タイヤ・チューブ費」。
と3つに分かれ全て合算した金額の6か月分となります。
2か月分
その他
実走していないので、おおよその予測で計上する、高速道路料金。
事務所で使用する水道代や電気代として、水道光熱費。
固定電話や携帯電話、パソコンの回線使用料等として、通信費。
これらも、2か月分計上する必要があります。
一括
登録免許税
一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際にかかる費用です。
一律120,000円かかります。
その他
什器・備品費等、運送業を開始する際、最初に用意する物の価格です。
具体的には机、椅子、パソコン、ラッシングベルト、コンパネ等が考えられるでしょう。
(2)資金調達
申請時に(1)で説明した合計金額の残高証明が一般貨物自動車運送事業の許可申請時に必要となります。
これは、申請後に数か月経過してから再度提出する必要があるのを覚えておいてください。
あなたが開業資金をいくら必要なのかは、一番心配される部分かと思います。
更に詳しい情報を確認したい場合はコチラをご覧ください。
開業時の資金調達に頭を抱えている場合はコチラの記事もオススメです。
4 人の要件
運行管理体制
(1) 最低車両台数が5台と定められていますので最低人員も5人+運行管理者とすること。
しつこいようですが、車両の要件でも確認した、開業する際に最低でも5台の車両を用意する必要があります。
それは、ただ台数を集めただけではなく、その車両台数に見合うドライバーも用意する必要があります。
そして、運行管理者を選任しなければなりませんが、運行管理者はドライバーと兼任が認められていません。
つまり、最低でも6人は用意しないと一般貨物自動車運送事業の許可は取得できないということになります。
ここでは、日々雇い入れする以外の臨時ドライバーでは認められないとも定められています。
人材派遣やアルバイトでも、仕事のある日だけの臨時ドライバーは認められていないのです。
そこで、勘違いされると困るので補足させていただくと、人材派遣が全てダメではありません。
人材派遣でも、長期雇用であれば認められていますので、活用されるのもよろしいかと思います。
(2) 運行管理者及び整備管理者を確保すること。
運行管理者
あなたは、国家資格である運行管理者を確保する必要があります。
毎年2回開催される試験で合格すると、運行管理者となることができます。
この試験は受験資格もあります。
- 運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
- 実務の経験に代わる講習を修了した者。
どちらかの要件を満たさないと受験することができません。
また、国家試験で合格する以外にも取得方法があります。
運行の管理に関して5年以上の実務経験があり、且つ、講習を5回以上受けていることです。
自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。
整備管理者
昔と違い、現在では社内に一人、整備管理者を確保することが義務付けられています。
整備管理者は、どのような方が選任できるかというと、
- 3級以上の自動車整備士資格を取得している者
- 2年以上トラックの整備・点検等の経験があり、且つ”整備管理者選任前研修”を修了している者
とあります。
あなたが、「自動車整備士資格所有者を探すのは難しい」と思われるのであれば、実務経験者が整備管理者選任前研修を受ける方向で考えていきましょう。
するとあなたは、「そんな実務経験なんてないよ」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。
実務経験者はどのような方を指すのかというと
- 整備工場やガソリンスタンドでの整備経験
- 運送業の整備実施担当者
このような場合に、実務経験者と認められます。
ここであなたが、ドライバー歴があるならご存知でしょうが、毎日日報を書いていたはずです。
だいたいの運送会社は日報の裏面などに、車両の日常点検項目があったと思うので、その年数がカウントできます。
また、整備管理者選任前研修は、東京都であれば、年間6回開催されています。
(3) 勤務時間、休息時間、休日が適切なものであること。
勤務時間(拘束時間・運転時間)、休息時間、休日等を適切に定めよと述べています。
(4) 運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
運行管理体制では誰からドライバーへの指示を出すのか、事故の際には誰から警察へ連絡をするのかといった命令系統を図にしておく必要があります。
(5) 車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること。
絶対に遵守して欲しいのですが、原則として、乗務前・乗務後に面前による点呼をする必要があります。
更に現在では、アルコールチェックも義務付けられていますので、合わせて実施していく必要があります。
(6) 社内安全講習会等を開き、重大事故が発生時は運輸支局にキチンと報告すること。
期間は定められておりませんが、定期的に社内安全講習会等を開いてドライバーに安全指導をするよう定めています。
あってほしくはないのですが、重大事故が起きた場合は、30日以内に運輸支局等に報告する義務があるので、その体制を整えておくことを定めています。
(7) 危険品の運送を行う場合、取扱い資格者が確保されていること。
危険物などを輸送する際ドライバーがそれ相応の危険物資格を所持していなければならないと定めています。
その他
あなたが、一般貨物自動車運送事業の許可を申請する場合、欠格要件というものが定められています。
- 一年以上の懲役、又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
- 一般貨物自動車運送事業、又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
上記のような要件に該当すると、一般貨物自動車運送事業の許可を取得することができません。
人に関する要件は、資格取得者であるかだけに留まりません。
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許可取得に要する流れと期間
一般貨物自動車運送事業の許可を取得に要する期間はどれくらいかかるのでしょう?
ここでは、行政書士に依頼し、新規で法人設立をしてから、許可がおりるまでの期間は半年ほどかかると思っておいたほうがよいでしょう。
そこであなたは、「そんなにかかるの?」とお思いかもしれませんが、およその流れとして
このような流れになります。
一つずつ確認していきましょう。
1 法人設立
諸々の条件(法人名、決算月等)を決定し、書類作成をしてから法務局へ提出します。
繁忙期等で多少前後しますが、およそ2週間みたほうがよろしいかと思います。
2 申請書の提出
支局運輸担当に許可申請書を提出します。
申請書といっても1枚だけではなく、10数種類もの書類を作成しなければいけません。
会社設立中にできるかぎりの申請書を作成してから運輸支局へ提出します。
3 申請書の審査
提出した申請書に不備や不足点があれば、あなたと支局担当でやりとりをして修正します。
もちろん不備や不足点がなければ修正の必要はありません。
4 法令試験
法令試験を申請者の方が受ける必要があります。
(常勤役員が複数いる場合はそのうちの誰かで構いません)
法令試験
法令試験の実施方法
(1)法令試験は、隔月(奇数月)で実施する。
(2)初回の法令試験は、原則として許可申請書等を受理した月の翌月以降に実施することとし、法令試験の実施予定日の前までに、別紙により申請者あて通知する。
(3)法令試験を実施した結果、合格基準に達しない場合は、翌々月に1回に限り再度の法令試験を受験できることとし、(2)に準じて再度通知する。
(4)再試験において合格点に達しない場合は、却下処分とする。ただし、当該申請についての取下の願い出があった場合は、この限りではない。
出題範囲及び設問形式等
(1)出題の範囲(以下の法令等については、法令試験の実施日において施行されている内容から出題する。)
- 貨物自動車運送事業法
- 道路運送法
- 労働基準法等
(2)設問方式
○×方式及び語群選択方式とする。
(3)出題数
30問
(4)合格基準
出題数の8割以上とする。
(5)試験時間
50分とする。
その他
(1)参考資料等の持ち込みは不可とする。ただし、関係法令等の条文が記載された条文集を配付する。(当該資料は書き込み不可。試験終了後に回収。)
(2)試験当日、受験者は筆記用具を持参すること。
この法令試験に合格しないと許可が得られないだけでなく、2回続けて不合格だと申請が却下されてしまいます。
厳密には自ら申請取り下げ願いというものを提出する必要があります。
そして、法令試験に合格し数日すると再度の補正連絡(完璧な申請であれば補正無し)があり
それを補正すれば更に数日後、許可連絡がきます。
5 2度目の残高証明書提出(補正)
申請時に提出した残高証明ですが、再度提出を求められます。
申請時の残高証明が見せ金でないかということなのでしょう。
この時、一度目の提出額より下回らないようにしましょう。
また、それと同時に補正連絡(完璧な申請書であれば補正指示はありません)がありますので、指摘された項目を補正します。
6 許可証交付
2度目の残高証明を提出し、補正が終わると数日後に許可連絡があります。
その後、支局毎に開催される新規事業者向けの説明会を受講することになり、その場で許可証を交付されます。
運輸支局によっては許可証を含む説明書類を全て郵送だけで済ませてくれることでしょう。
原則として上記の流れは法令試験に落ちることなく素直に進めば、許可申請書の提出から標準処理期間で定められた3~5か月で許可証が交付されます。
7 登録免許税の納付
許可を受けた日から1か月以内に登録免許税(12万円)を銀行・郵便局・法務局のどれかで納付します。
この納付はコンビニではできません。
支払った際に受け取る領収書を”登録免許税届出書”に貼り付けし、運輸支局へ送付します。
8 社会保険・労働保険等の加入手続き
上記と並行して福利厚生をキチンと整えます。
主な届出先はそれぞれ
- 労働保険(労災保険・雇用保険)→管轄する労働局
- 社会保険(健康保険・厚生年金)→管轄する日本年金機構事務所
となります。
殆どの方は社会保険労務士に依頼されることと思います。
各種加入手続きが完了すると控えがもらえますので、大切に保管しておいてください。
9 運行管理者・整備管理者の選任届け
運行管理者選任届と整備管理者選任届をそれぞれ提出します。
これを提出しておかないと、後に運輸開始前届が提出できません。
それぞれ運行管理者資格者証・整備士資格者証もしくは整備管理者選任前研修終了証明書のコピーを添付します。
10 運輸開始前届け~事業用自動車連絡書の交付
運行管理者・整備管理者選任届けを提出し、それぞれの準備が整えば運輸開始前届を提出します。
運輸開始前届(一般貨物自動車運送事業の運輸開始前の確認について)
この届けに必要な書類は
- 運行管理者及び整備管理者の選任届出(写)
- 登記簿謄本(新設法人及び登記事項の変更が必要な場合)
- 事業許可の際に遵守すべき指示事項・条件等が通達されている場合は当該実施事項を確認することが出来る写真
- 従業員に対する労働保険(労災保険・雇用保険)、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入状況が確認できる資料(各保険届写)
- 選任運転者の運転免許証(写)
を添付して提出します。
問題なく受理されると営業ナンバーの登録に必要な事業用自動車連絡書が交付されます(地域によっては自前で記入し持参したものを押印してもらう)。
11 車両登録・任意保険加入
準備しておいたトラックを登録して、任意保険に正式に加入します。
12 運輸開始届・運賃料金設定届
運輸開始届・運賃料金設定届を提出する際に他にも必要な書類を提出します。
- 労働保険関係成立届
- 社会保険新規適用届
- 車検証
- 任意保険加入証書
運輸開始前届を提出する際に既に添付してある場合は重複する(保険関係等)必要はありません。
これらは全てコピーを提出します。
13 営業開始
上記を経てやっと営業をスタートできます。
実際には運輸開始前届提出後に営業ナンバーを付け、任意保険に加入してから営業を既に開始した後に運輸開始届を事後届けとしても問題はありません。
ですが、許可要件である「許可後1年以内に営業開始をしないと許可の取消処分とする」と定められているので、早めに提出するようにしてください。
14 適正化特別巡回指導
運輸開始届を提出後の3か月以内に適正化指導員による巡回指導があります。
営業できたから後は知らんとならず、日々の帳票類等はキチンとしておきましょう。
おそらく、あなたが思っていた以上に、手間がかかる内容かと思います。
更に詳しい情報を確認したい場合はコチラをご覧ください。
まとめ
まずあなたは、一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要があったでしょうか?
おそらくですが、殆どの場合は、取得する必要があったかと思います。
そこであなたは、許可要件を確認したことと思いますが、その要件は、事細かにルールがあり、ウンザリしたかもしれません。
そして、手続きの流れや期間に関しても、同様に思ったことと思います。
尚、許可要件に関しては、地域によって多少内容が異なります。
異なるとは言っても、最低車両数が5台以下というような大きな開きはありません。
それでも、手間も資金も期間も要する許可要件を全てクリアすることによって開ける道があります。
悠々自適な道かもしれませんし、つらく険しい道かもしれません。
あなたにとって、良いことも悪いことも経験していくでしょう。
生意気かもしれませんが、私が思うに、何かを始めるのに遅すぎることはありません。
あなたの信じた道を進んでください。
志あるところに道は開けます。