あなたが、レンタカー事業を開始する際の要件は把握していると思います。
欠格要件や用意する車両はクリアしているし、ここまでは問題ないかと思います。
当然と言えば当然の話なのですが、それだけではレンタカー事業の許可要件をクリアというわけにはいきません。
では、その他に何をしたらいいのでしょうか?
どのような整備をしていかなければならないのでしょうか?
ここでは、レンタカー事業を開始する際に整備しておかなければならない点がいくつかあります。
それらの整備すべき点を分かりやすく丁寧に解説していきます。
先ずは一読してください。
あなたが、これからすべきことが分かることをお約束します。
こちらを読まれると理解が更に深まります。
それでは確認していきましょう。
Contents
保険の加入
あなたがレンタカー事業を始める際、必ず車両に保険をかけておかなければなりません。
というと勘違いされがちなのですが、申請時に加入する必要はなく、許可後の話となります。
ここでいう保険とは、強制保険と呼ばれる自賠責保険以外のいわゆる任意保険のことです。
”事故を起こした場合に備えて、十分な補償を行いうる”と定められております。
具体的には
- 対人保険:8,000万円以上(1人あたり)
- 対物保険:200万円以上(1件あたり)
- 搭乗者保険:500万円以上(1人あたり)
という数値を求められております。
ただ、上記のような最低額で本当に保険の意味を為すのでしょうか?
あまり考えたくはありませんが、乗り慣れない車両において死亡事故の可能性もあがると思います。
また、まかり間違って踏切事故などで列車遅延などが起きると億単位の賠償判例も出ていますね。
掛け金に大差はないかと思いますので、
- 対人:無制限
- 対物:無制限
- 搭乗者:3,000万円
私はこの額を皆さんにオススメします。
掲示
レンタカー事業を行う際には、様々な書類を公衆(利用者)に見やすいよう掲示することが義務付けられています。
どういったものがあるのでしょう?
労務供給の禁止
レンタカー事業者は、車を貸し出す際に運転手を付けることはできません。
また、運転手を紹介やあっせんすることも禁止されています。
その旨を、公衆(営業所)の見やすい場所に掲示する必要があります。
レンタカー事業者より運転手の紹介
ホームページ上のリンク先に、運転代行業者のホームページがあっても紹介とみなされる可能性は高いです。
運転手付きレンタカーの実態
現に、そのようなサービスを提供し営業なさっている事業者が存在します。
あなたは当然のように「レンタカー事業者は、運転手を付けるとダメなんじゃないか?」と思われるでしょう。
その事業者の仕組みは
このように、様々な文言を付した契約書を用いて運営をしている模様です。
法的問題はクリアしていると記載していますがグレーゾーンな気もします。
運転代行
レンタカーで出かけ、つい飲酒してしまったので運転代行を頼む。
容易に想像できる状況ですが、法的には問題ありません。
レンタカー事業者と利用者で結ばれた契約の問題は残りますが。
料金及び約款
あなたは、利用料金と約款を営業所において見やすいように掲示する必要があります。
料金表の掲示については、利用者にとって利用しやすいような意味があることは分かります。
では、約款とは何の為に掲げるのでしょう?
そもそも約款とは何なのでしょう?
- 条約・契約などに定められている条項。
- いくつかの契約を定型的に処理するため,あらかじめ作成した契約条項。
このように定められています。
つまり、約款を掲示しておいて、契約書の一部に”約款に同意する”といった記載をしておくことができるわけです。
簡単に言えば、契約する際、常に事細かな説明をする手間を省く為といったところです。
記録
あなたが、レンタカー事業を行う上でいくつか記録しておかなければならない証書等があります。
貸渡証
記載事項は下記の通りです。
ア 借受人の氏名又は名称及び住所
イ 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
ウ 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
エ 貸渡日時及び時間
オ 貸渡事務所、返還事務所
カ 貸渡人の氏名又は名称及び住所
キ 次の遵守事項
(ア)「運行中必ず携帯し、警察官又は地方運輸局もしくは運輸支局の職員の請求があったときは、提示しなければならない」旨の記載
(イ)「自動車の借受に付随して、貸渡人から運転者の労務供給(運転者の紹介及びあっせんを含む。)を受けることはできない」旨の記載
(ウ)貸渡自動車に係る事故及び故障等が発生した場合の処置(処置方法、連絡先等)に関する記載
(エ)「貸渡期間が2日以上となる場合には、日常点検を借受人が実施することとなる」旨の記載
これらを全て記載した貸渡証を交付して、借り受ける運転者にこれを携行するように指示しなければなりません。
貸渡簿
記載事項は下記の通りです。
ア 借受人の氏名又は名称及び住所
イ 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
ウ 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
エ 貸渡日時及び時間
オ 貸渡事務所、返還場所
カ 運行区間又は行先及び利用者人数並びに使用目的(自家用マイクロバスの貸渡を行う場合に限る)
キ 走行キロ数
ク 貸渡料金
ケ 事故に関する事項
貸渡簿を備え、貸渡の状況を記録する必要があります。
この貸渡簿は2年以上保存しなければなりません。
また、貸渡原票をまとめたものを貸渡簿に代えることもできます。
貸渡実績報告書
読んで字の如しですが、貸渡した実績を報告する為に必要な書類を作成する必要があります。
前年の4月1日から3月31日までの期間を記録します。
これを毎年5月31日までに所在地を管轄する運輸支局長に提出します。
貸渡証、貸渡簿をキッチリ付けておけば問題ないでしょう。
事務所別車種別配置車両数一覧表
やたら長くて敬遠したくもなりますが、これも読んで字の如く配置車両の一覧表を作成する必要があります。
これは、前年度の
- 6月30日
- 9月30日
- 12月31日
- 3月31日
における時点での車両一覧を、合計4枚作成する必要があります(地域によって1枚で可)。
※現在、年度末に1枚作成でよくなっています。
これも貸渡実績報告書と同じで、毎年5月31日までに所在地を管轄する運輸支局長に提出します。
上記2点の報告方法
それまでは郵送やFAXで最寄の各運輸支局へ提出する必要がありました。
しかし令和3年よりメールで報告することができるようになったのですね。
条件としてExcel形式で提出する必要があります。
というわけでココで全て簡潔できるよう、ファイルと送付先を記載しておきます。
※クリックするとダウンロードできます。
上記が完成したら下記に送信。
hqt-rentacar.report@mlit.go.jp
そして心配性なあなたは「ちゃんと送れたかな?」と思うかもしれません。
そんな場合はメールを送付する際に「報告書の受領を確認したい」とメール本文にご記載いただければ、後日、受領した旨を伝えるメールを返信してもらえます。
まとめ
不必要にハードルが高くはない内容だと、あなたも思ったことでしょう。
むしろ、レンタカー事業を行っていく上で最低限の必要性を感じる内容かとも思います。
レンタカー事業は、専門で営業開始される方だけでなく、自動車整備工場やガソリンスタンドの方が副業で始める方も多いです。
なぜなら、車や人が遊ぶ時間にバラツキが出やすい事業だからです。
そのような方が、収益をあげるのにはもってこいのビジネスかと思います。
今、あなたの事業も、再度見つめ直す機会が訪れているのかもしれません。
そして、必要性を感じたなら是非挑戦してください。
あなたの成功を心より応援しております。