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一般貨物自動車運送事業を始める際の許可要件(総論)

 

あなたが運送業を始めたいと思った時、同時に「何から手をつけていいのか分からないよ?」と思うことはごく自然なことです。

実際に運送業開業希望者が行政書士へ問い合わせる内容で、一番多いのは許可要件に関してです。

あなたは「面倒くさいなぁ」と内心では思われるでしょうが、仮に許可要件というルールが定められていなかった場合どうなるでしょう?

モグリの運送会社があふれ、あなたの運ぶ大切な荷物を破格な運賃で奪っていき、挙句の果てには勝手に潰れたかと思ったら荷主から「あの会社はあの運賃で運んでたのにオタクの会社は何でできないの?」などとイヤミを言われる結末まで容易に想像できますよね。

自動車の運転をするのに免許証が必要なように、運送業を開始するには許可が必要な理由はそういった部分にあるのです。

逆に許可要件を全てクリアし、晴れて運送業を開始できた場合、それはあなたが国からお墨付きを頂いたということですから、絶対的な社会的信用があるということにも繋がります。

 

許可要件の必要性が理解できたら、一般貨物自動車運送事業の許可要件をザックリとではありますが説明します。

大きく分けると4つの許可要件に分類できるのですが、

1.場所の要件
2.車両の要件
3.資金の要件
4.人の要件

と分かれます。もちろん全てクリアしないといけません。

具体的にどのような内容なのか、ここでは国土交通省・関東運輸局の公示を元に、専門用語を使用せず、出来る限り分かりやすい言葉で、何より簡潔に説明していきます。

これを読むことで先ずは許可要件の全体像を掴んでください。

そして全体を見渡してから、あなたに不足する部分は何なのかを今一度確認して欲しいのです。

繰り返しますが、まず一度読んでみてください。

あなたの知識が広がることをお約束します。

 

それでは一つずつ確認していきましょう。

 

 

Contents

1.場所の要件

営業所

要件の一つ目は営業所の確認になります。例えば使用権原がハッキリしなければ民間同士のトラブルも発生します。

どこで営業しているのかが分からなければ行政庁からすれば監督することができなくなります。

(1) 使用する権利を有していること。

(2) 農地法 、都市計画法等関係法令に抵触しないものであること。

(3) 規模が適切であること。

適切な規模?と思われるでしょうが具体的に何平方mとは定められておりません。
しかし一般的な運送会社の事務所に必要な物(机・イス・帳票類・パソコン等)が備え付けられる適度な広さは確保しなければなりません。

 

気を付けて欲しいのが都市計画法で、市街化調整区域ではないことを求められていることです。

 

それらを含めて、更に詳しく説明したページも用意しております。

一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 場所(営業所)編

休憩室

次に休憩室の確認となりますが、運送業は他業種と比較した際に従業員の拘束時間が長くなりがちです。

過労運転をさせないよう適度な休息を与えるのも会社の努めとなりますので休憩室の設置を定めているのです。

(1) 乗務員が有効利用できる適切な施設であること。

(2) 睡眠を与える必要がある乗務員1人当たり2.5平方メートル以上の広さを有すること。

(3) 原則、営業所又は車庫に併設するものであること(例外有り)。

睡眠施設は必置ではないのですが、ドライバーの拘束時間が長くなる場合は必置となります。
広さの目安を簡単に確認する方法として、布団一組を敷くスペースがあれば2,5平方メートル以上の広さという要件はクリアできるかと思います。

 

 

それぞれの要件を更に詳しく説明したページも用意しております。

一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 場所(車庫等)編

 

車庫

自動車運送事業ですので、当然車庫の要件も定められています。

(1) 原則、営業所に併設するものであること(例外有り)。

(2) 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること。

(3) 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。

(4) 使用する権利を有していること。

(5) 農地法 、都市計画法等関係法令に抵触しないものであること。

(6) 車庫の出入り口の幅が適当であること。

 

その他にも近隣施設によっての制限があります。

 

それぞれの要件を更に詳しく説明したページも用意しております。

一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 場所(車庫等)編

 

2.車両の要件

運送業においてトラックはなくてはならないものですので、トラックについての要件も当然定められています。

車両数

運送業を開始する際の適正な車両台数や台数の計算方法を定めています。

(1) 事業用自動車の数は5両以上とすること。

(2) けん引車は、けん引車+被けん引車を1両と算定する。

(3) 霊きゅう運送、一般廃棄物運送等の事業においては5台以下でも可能。

 

何で5台?とあなたは思ったことがありませんか?
国土交通省は「まとまった車両規模を確保することによって適切な運行管理を行いうる体制を整えることを担保するものであり、これを撤廃してトラック事業の零細化を進めることは輸送の安全の確保の観点から適当ではない。」という理念・理由があるのです。

 

事業用自動車

事業用自動車とは貨物を運送し運賃を収受する営業に用いる自動車を指し、当たり前ですが一般的な家庭用の自動車では事業用自動車には該当しません。

(1) 事業用自動車の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切なものであること。

(2) 使用する権利を有していること。

 

あなたが「トラックは3台で足りるんだけどなぁ」という状況であっても5台は揃えないと一般貨物自動車運送事業の許可は取得できません。

 

それぞれの要件を更に詳しく説明したページも用意しております。

一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 車両編

 

3.資金の要件

運送業を開始するのに資金の要件が設定されているのは安易な開業を抑制し、最低限の経済的基盤を担保することにより、運送業全体の安定化を図っています。

(1) 営業を開始する際の資金が十分であること。

(2) トラック・営業所・車庫の各価格(リース・賃貸の場合は12か月分)+各種保険料の1年分+従業員の給料や備品等の6か月分が確保されていること。(1)の内訳。

(3) (2)の資金が許可申請後の一定期間は確保されていること。

具体的にいくら以上必要とは決まっておりませんが、所有する車両、営業所・車庫の取得費用によって開きが出ます。
10tトラックだけ保有する会社と2tトラックだけ保有する会社では必要な車庫の大きさも、車両の価格も変わってくるでしょう。

 

あなたが新規で一般貨物自動車運送事業の許可取得しようとする場合、株式会社設立手続きも検討されているかもしれません。

ここではあくまで一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際に必要な金額を求めています。

 

それぞれの要件を更に詳しく説明したページも用意しております。

一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 資金編

 

4.人の要件

運行管理体制

運送業を安全に運営することに対していかに取り組むかという体制づくりも要件としています。

会社全体で安全確保に臨むことをその要件としているのは当然といえば当然ですね。

(1) 最低車両台数が5台と定められていますので最低人員も5人+運行管理者とすること。

(2) 運行管理者及び整備管理者を確保すること。

(3) 勤務時間、休息時間、休日が適切なものであること。

(4) 運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。

(5) 車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること。

(6) 社内安全講習会等を開き、重大事故が発生時は運輸支局にキチンと報告すること。

(7) 危険品の運送を行う場合、取扱い資格者が確保されていること。

運送業を開始する際の最低確保人員についてですが、運転手5人と運行管理者の1人の合計6人は最低でも必要となります。
ドライバーと運行管理者は兼任が認められていませんが、ドライバーと整備管理者は兼任が認められています。

 

以前は整備管理者は自動車修理工場でも構わなかったのですが、現在は社内に一人整備管理者を確保することが定められています。

 

それぞれの要件を更に詳しく説明したページも用意しております。

一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 人編

 

まとめ

あなたは求められる許可要件の多さに尻込みしているのではないでしょうか?

そんな思いを持つあなたに水を差すようで申し上げにくいのですが、それぞれの要件は更に事細かに数値を求めていたり、厳しい条件を突き付けています。

そんなことを言うと「やっぱり許可は取得しない方向で・・・」と考えるのも無理はない話かもしれません。

しかし現存する運送会社はこれらの要件を全てクリアして晴れて運送業を開始されているのも現実です。

 

とは言え、あなたからすると目標が遠く感じるかもしれません。

遠すぎて近づけそうにないと思っても、最初の一歩を踏み出せば遠い目標に一歩近づけるのもお分かり頂けると思います。

一歩一歩前進を続けることができれば、あなたの思い描いた目標に辿り着くことは必ずできます。

 

それでも前進を続けていった時、どうにもクリアできない要件も出てくるかもしれません。

そんな時は専門家の方にアドバイスを受けてみてはどうでしょう。

きっとあなたにとって有益な情報を与えてくれるはずです。

志あるところに道は開けます。

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