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一般貨物自動車運送事業を始める際の要件詳細 場所(営業所)編

 

あなたはひょっとすると営業所をどうしようかと悩んでいる最中ではありませんか?

はたまた単純に営業所の要件を調べているだけかもしれません。

ここで注意してほしいのは、あなたが既に営業所を確保している場合です。

既に確保しているあなたは本当にその営業所で大丈夫なのでしょうか?

「古くから営業している運送会社の隣に借りるんだから大丈夫でしょ?」と安心していたら一般貨物自動車運送事業の許可がおりなかったなんていうケースも稀にですがあるのです。

 

開業準備を急ぐあなたがやっと見つけた営業所があったとしても、賃貸借契約書にハンコをつくのをグッとこらえてちょっと待ってください。

たしかに営業所探しは、一般貨物自動車運送事業の許可を取得する際に骨の折れる作業だということも重々承知しております。

ですが、その営業所が一般貨物自動車運送事業の許可要件を満たしていなければ、時間もお金も無駄になるだけではなく、何よりあなたの心が折れてしまうかもしれません。

 

運送業を始める上で営業所は絶対に必要な施設であり、営業所のない運送会社などありません。

当然、営業所に関する要件も詳細に定められています。

言うまでもないのですが、要件をクリアできなければ一般貨物自動車運送事業の許可はおりません。

 

ここでは一般貨物自動車運送事業の許可要件である営業所に関して、国土交通省・関東運輸局の公示を元に、専門用語を使用せず、できる限り分かりやすい言葉で説明していきます。

先ずは一度読んでみてください。

あなたが思い浮かべたその営業所が、一般貨物自動車運送事業の許可要件に適合しているかを確認する判断基準になることをお約束します。

 

それでは一つ一つ確認していきましょう。

 

Contents

営業所

(1) 使用する権利を有していること。

あなたが営業所として使用する権利を有していることを証明する必要があります。

その際に営業所が”自己所有”と”賃貸”とで証明方法が変わってきます。

その証明をするのに何が必要になるかというと

  • 自己所有:建物登記簿謄本や土地登記簿謄本
  • 賃貸:契約期間が2年以上で且つ契約期間終了後に自動更新となる旨の記載がある賃貸借契約書

となります。

2年未満の賃貸借契約をなかなか結ばないかとは思いますが、もしそのような短期契約を結んでいても自動更新の記載があれば大丈夫です。

あなたは「自宅(賃貸マンション等)を営業所にできないのかな?」と思っていたりしませんか?

おそらく自宅として借りているので、賃貸借契約書の使用用途という欄を見ていただくと”居住”となっているかと思います。

大家さんと相談して営業所として使用することを認めてもらった上で、使用用途を変更してもらったり、使用承諾書をもらうなりして対応してもらいましょう。

 

(2) 農地法  、都市計画法等関係法令に抵触しないものであること。

農地法で気をつけるべき点

あなたが「あそこの土地が余ってるから事務所を建てようか。」と思っているなら登記簿を確認して頂きたいです。

地目が「」や「」ではないですか?

その場合は農地転用ををしないといけなくなってきます。

農地転用: 農地を農地以外のものにすることをいいます。
農地転用をする場合は基本的に都道府県知事、政令指定都市などでは市の農業委員会の許可が必要です。

 

しかし、農地転用をする際、場合によっては農業委員会と役場の厳しい審査があります。

なぜ厳しい審査があるかというと、農地を売っても二束三文の場合が多く、農地が簡単に宅地等にできてしまうと皆がこぞって売りやすい宅地に変更してしまいます。

そのように農地が減ると、それに伴って食料自給率が減る為、農地法で厳しい規制がかけられているという背景があるのです。

農地転用は1年以上かかるケースもありますので、どうしても農地転用が必要な場合、ここでは専門家の方に相談することをおすすめします。

都市計画法で気をつけるべき点

市街化調整区域ではないことが一番有名な要件ではないでしょうか。

市街化調整区域とは

都市計画法の定義では

この区域では、開発行為は原則として行わず、都市施設の整備も原則として行われない。
つまり、新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑える地域となる。
ただし、一定規模までの農林水産業施設や、公的な施設、および公的機関による土地区画整理事業などによる整備等は可能である。

 

と定められおり、端的に言うと「市街化を抑制すべき区域」とされています。

更に簡単に説明するなら”原則として建物を建ててはいけませんよ”と言っているわけですね。

そこであなたは原則と聞いて「例外は?」と思ったかもしれません。

既存宅地」と呼ばれる場所であれば可能な場合もあります。

既存宅地とは

その土地が市街化調整区域に指定される前から「宅地」として利用されていたことを法的に確認したものです。

現在では法改正が進み、既存宅地という制度が廃止されたので、新たに認められることはなくなりました。

市街化調整区域内であったとしても、市町村役場へ問い合わせるなどして過去に既存宅地として認められていたかの確認をしてみましょう。

ですが、既存宅地であるかの確認には時間と費用がかかりますので、ここでは専門家の方に相談するのをおすすめします。

トレーラーハウスという選択

営業所をトレーラーハウスにされている会社を見かけますね。

適切な手続きを踏むことによって市街化調整区域内に設置することが認められる場合があるのですが、

この適切な手続きというのが誠に厄介だったりするわけなのです。

様々な事例を見てきましたが、売る側の知識が乏しかったり、特殊車両通行許可の取得など時間が掛かったりと簡単ではありません。

あなたが考慮されているなら専門家に一度相談してみましょう。

最後の砦

色々と調査を続けて行き詰ったあなたの最後の砦として、「非農家の分家」という手続きがあります。

これは特殊な手続きで、相続で譲り受けた3代以内等の諸々の条件が整わないと成立しません。

詳しくは近所の土地家屋調査士に相談してみましょう。

建築基準法で気をつけるべき点

既に建築されている建物であれば、建築基準法をクリアしているはずなので問題はありません。

ここでは車庫に併設する場合などの新たに営業所を建築する場合に気をつけるべき点です。

キチンとした建物を建築業者に頼む場合などは問題なくクリアできるでしょう。

あなたが「プレハブかユニットハウスでも買って据えるとしよう。」と考えた場合には注意が必要です。

一般的に大きさが10平方mを超える場合は基礎工事と建築確認申請が必要になってきます。

また車庫にプレハブを据えようとしている方で、建築物が何もない場所だとやはり基礎工事と建築確認申請が必要となるケースもあります。

プレハブの基礎はブロックで大丈夫?:実際にブロックの上にプレハブを置いてあるだけの事務所も見かけますが、全てにあてはまるとは限りません。
ここでは専門家に事前相談することをオススメします。

 

(3) 規模が適切であること。

営業所の広さが何平方m以上という基準はありません。

しかし一般的な運送会社の事務所に必要な物が備え付けられる適度な広さは確保しないといけません。

 

ここであなたは「○ナバの物置でも据えておけばいけるんじゃない?」と考えたとしましょう。

実際に物置の中に机・イス・パソコン・各種書類等を備えて事務作業をすることは常識的な範囲で難しいでしょう。

一般貨物自動車運送事業の許可がおりる可能性も限りなく低いため、他の方法を考えましょう。

 

まとめ

あなたが営業所を決めるのは慎重に行わなければならない理由がお分かりいただけたかと思います。

「不動産屋が事務所使用可と説明したから。」と鵜呑みにし、賃貸契約を結んだら実際には許可がおりなかったなんていうケースもあります。

まずは慎重な確認作業から進めなければなりません。

 

よく”法律は生き物”と言われます。

時代とともに改正を繰り返し、現代に則して絶えず進化していきます。

古くから建っている建物は、現代の法律では建てられない場所に建っている場合もあります。

以前は事務所として使用されていた建物も、現代の法律では違法建築物に該当する場合もあります。

 

あなたに時間の余裕があるならば、関係する役所へ一つずつ確認していくのもいいでしょう。

面倒だから専門家に丸投げという手もあるかもしれません。

どちらも正しいと思いますので、あなたに合った方法で慎重に確認してみてください。

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