”軽自動車で独立開業”
”月収50万円以上可能”
真相はともかく、あなたもこんな記事を目にしたことは少なからずあるかと思います。
ネット通販を始めとした宅配事業の成長は容易に想像できることでしょう。
そこへあなたも参入しようとした場合に、どのようにして開業するのでしょう?
今回は貨物軽自動車運送事業(以後「軽貨物運送」)で開業する際の手続きについて、分かりやすく丁寧に解説していきます。
これを読むことで軽貨物運送を始めるまでに必要な手続きが分かることをお約束します。
先ずは一読してください。
それでは確認していきましょう。
Contents
貨物軽自動車運送事業とは
あなたも既にご存じかもしれませんが、”軽自動車を使用して荷主の荷物を運送する事業”を指します。
通常のトラックやバン等は車検証の使用用途が”貨物”となり一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要があります。
ここでは軽自動車やバイクで荷物を運ぶ事業をする際に必要な資格と考えてもらえば差し支えないかと思います。
届出制度
軽貨物運送は許可制度でなく届出制度となっております。
あなたは同じような意味に感じるかもしれませんが、かなり違います。
許可
法律的に言うと、一般的に禁止されていることを特定の場合に解除することです。
通常の許可申請などは、役所が許可もしくは不許可の判断をくだします。
届出
これは単純に通知することと思ってください。
届出に対し役所は良いも悪いも判断をくだしません。
書類に不備があれば再提出などを求めるに過ぎないのです。
軽貨物運送の要件
軽貨物運送で開業する際に必要な要件が当然定められています。
そんなに難しい内容ではなく、下記に記した内容以上のことは求めていません。
車両
台数
1台から始めることができます。
構造等
- 原則として乗車定員は2名以下。
- アンドン等を装備する際、タクシーと間違われたりしない(紛らわしい装飾の禁止)。
- 車内にタクシーメーターに類似するような計器類を装着しない。
車庫
- 原則として営業所に併設されていること。
- 併設できない場合は営業所からの距離が2kmを超えないこと。
- 当然、車両を全て収容できる広さが必要。
- 使用する権原を有していること。
- 各種関係法令に適合していること。
- 1台辺り10㎡以上の広さがあること。(地域によって異なる)
証明書類の添付は必要なく、自己申告というスタイルです。
休憩睡眠施設
軽貨物運送では、休憩施設と睡眠施設を設置するよう求めています。
逆に営業所に関する定めが無い地域があるのも不思議なものです。
個人で始める場合は営業所は自宅で良いかと思います。
それに伴って休憩・睡眠施設も併設という格好で良いでしょう。
届出用紙に広さを記載することになっております。
運行管理体制
適切な運行管理体制の構築を求めています。
ですが、車両台数に関係なく運行管理者資格は不要です。
運送約款
運送約款とは荷物を運ぶ際の決まり事のようなものです。
これを作成して提出する必要があります。
ですが、標準貨物軽自動車運送約款という運送約款が定められています。
この標準貨物軽自動車運送約款を使用することによって代替することもできます。
車体表示
車両の両側面に事業者名を記すように定めています。
地域によって1文字の大きさが8cm以上等の決まりもあります。
軽貨物運送を開業するときの必要書類
あなたは要件を全てクリアしているとして、何をどこに提出すればいいのでしょう?
届出先
あなたの所轄の運輸支局に提出します。
直接持ち込んでも、郵送でもどちらでも構いません。
貨物軽自動車運送事業経営届出書
これがメインとなる届出用紙となります。
必要事項を全て記載し、押印します。
運賃料金設定届出書
運送事業なので運賃が当然発生します。
ここでは基本的な料金を設定して記載します。
地域によって「1個○○円」「○○kmでいくら」と簡単な記載で済む場合もあります。
基本運賃料金表みたいなヒントを提示している運輸支局もありますので確認してみましょう。
車検証
当然、控え(コピー)で構いません。
ここであなたは「新車の場合は?」と思ったかもしれません。
その場合、事業に用いる車両の車体番号を記した書面があれば大丈夫です。
事業用自動車等連絡書
読んで字の如しですが、車両を事業に用いる際に記入する書面です。
これは地域によって届出時に提出を求める場合と、届出が完了した際に発行してくれる場合があります。
最寄の運輸支局で確認が必要です。
黒ナンバー取得
通常の軽自動車は黄色ナンバーに黒文字です。
これを反転させた黒ナンバーに黄色文字が軽貨物運送の事業用車両の証となります。
では、どうやって黒ナンバーにするのでしょう?
先ず、上記の開業時の必要書類を最寄の運輸支局へ提出します。
持ち込むと、その場で内容をチェックし、不備が無ければ直ぐ(5~10分)に事業用自動車等連絡書を発行してくれます。
次に軽自動車検査協会へ出向きます。
ここで注意が必要なのは、通常の車検場(陸運局)ではない点です。
ご存じかとは思いますが、軽自動車の車検場ですね。
ここへ連絡書と車検証を持って行き、置いてある必要書類に記入して手続きをします。
費用は地域によって差はありますが、3,000円でどこでもお釣りがくるはずです。
手続きが済めば、晴れて黒ナンバーを交付してもらえます。
普通車と違い封印が無い為、ドライバー一本でその場で簡単に付け替え完了です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
あなたは他の運送事業と比較して、驚くほど簡単だと感じたかもしれません。
当然、あなた自身で全ての手続きをしてみるのもいいでしょう。
「面倒くさい」等と思われるのであれば、専門家に丸投げしてもいいでしょう。
どちらにしても、黒ナンバーに付け替えることがゴールではありません。
あなたが軽貨物運送で成功されることを心より願っております。