あなたは”運送業の今後”というテーマに関して、どのようなイメージを持っているでしょうか?
残念ながら、大多数の方があまり明るい未来が見えていないかもしれません。
実際にグーグル検索で「運送業 今後」と検索すると、驚く程ネガティブな事が書かれています。
では、本当に運送業には明るい未来が訪れないのでしょうか?
衰退を繰り返し、最後はなくなってしまうのでしょうか?
そこで、先ずは大局的に運送業界の現状を、グラフで分かりやすく知ることからはじめてみましょう。
そして、最近まで運送会社に勤務し、配車をしていた私の現場で感じた意見も織り交ぜて考察していきたいと思います。
先ずは一読してみてください。
あなたの運送業の今後に対する見方が少しでも変わることをお約束します。
それでは確認していきましょう。
Contents
名目GDP
その年に生産された財やサービスについて、それぞれの付加価値を足し合わせて算出する。
国内総生産をもっと分かりやすく言うと”日本国内で日本人が働いて稼いだ儲けの合計”と考えれば良いかと思います。
リーマンショック以降、低水準が続くのですが、やっとリーマンショック以前に戻っています。
かなり広いところから入りましたが、先ずは国内全体の状況から確認して欲しかったのです。
ちなみに私のリーマンショックの思い出を一つ。
2007年は私がバリバリ配車をしていた時期(自車:水屋=3:7)で、私個人の水揚げも1億6千万程の売り上げがありました。
しかし、リーマンショック直後の2008年には売り上げが1億円を切る勢いで激減し、相当悩んだのを覚えています。
貨物輸送量
トンベース
国内貨物に関しては、1997年をピークに減少傾向となっています。
ここ10年で見ると、ほぼ横ばいといったところですね。
それに比べて国際貨物は緩やかな増加傾向が続きます。
国内企業のグローバル化、中国の急成長等が考えられるかと思います。
トンキロベース
では、国内貨物の詳細に目を向けると、自動車輸送に関してはおおむね横ばい状態です。
国土交通省が推し進めるモーダルシフト(鉄道輸送)も低水準で横ばい状態ですね。
全体的に大きな増減がないかと思われます。
貨物輸送量を現場視点で考えると、やはり全体的には減ったなと感じます。
基準をリーマンショック以前と比較すれば、明らかに減ったと断言できるでしょう。
では、減少傾向が続いているのか?と問われたら、答えはノーです。
あくまで低水準を保っていると思います。
積載率の推移
パッとこの数値だけを見ると、運送業界大丈夫?と感じるでしょう。
ただし書きにあるように平成22年以降は軽自動車を除外してるので、それ以降で確認するべきです。
ですが、低水準ですね。
40%ということは10tトラックで4tしか積んでいないという計算になります。
ですが、重量ベースでのデータなので、10tトラックに重量で10t積むことばかりではないのが現状だと現場視点で思います。
これに合わせて、容積ベースのデータもあれば良かったのですが、トラックに容積満載で荷物を積んでも、衣類やスナック菓子等のような軽量荷物を含めると、このような数値も仕方ないでしょう。
宅配便の増加
目覚ましい急成長を遂げています。
インターネットの普及に伴い、ネットショッピングも多様化してきた結果だと思います。
貨物輸送量の下支えになっているのは一目瞭然でしょう。
ただ、一般貨物業界に身を置く方にとって宅配業務は無縁という方も多いかと思います。
コストに着目すると、なかなか関与するのが難しいかとも思います。
幹線輸送に関与するのが一般的となるのも無理はないかもしれません。
営業利益率
この数字だけを見ると強烈に悲しくなりますね。
ここからは天にツバを吐くような内容となりますが、あくまで現場視点の独断と偏見です。
そもそも、挨拶代わりの「儲かってる?」という問いに対して、「うちは凄い儲かってるよ」と返す人を見た記憶がありません。
仮に儲かっている会社があったとしても、日本人独特の奥ゆかしさみたいなもので「いやぁサッパリですわ」が挨拶の返しとしてデフォルトでしょう。
つまり、このデータはそういうことです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
あまり明るい材料ばかりを揃えるのも嘘くさいと思い、ネガティブなグラフも掲載しました。
あなたは「やっぱり運送業はもうダメだな」と感じたでしょうか?
ただ、運賃は徐々にですが上がってきているのは事実です。
私は取扱い業務(水屋)を得意とし、日々数十件の同業と電話でのやりとりをした上で感じています。
10年前の水準と比較して、緩やかにですが運賃は上がっているのは間違いありません。
これが何を意味するのか?
私は人手不足の影響からが一番大きな理由かと考えます。
そう考えると、喜んでいいのか判断に迷うところでもあります。
オリジナリティや個性を打ち出すことは、正直なところ難しいとは思います。
安易に価格競争に走ると淘汰されていくでしょう。
あなたの舵取り次第で、会社は大きく左右されます。
だからこそ、日々アンテナを立て、情報収集し、常に最善の一手を打ってください。
そこに才能は不要で、必要なのは努力だけです。