もしかしたら、あなたは産廃業の許可を取得しようと思っているかもしれません。
はたまた、それ以前の段階で許可要件を調べているだけかもしれません。
どちらにしても産廃業の許可要件とはどういった内容が求められているかを調べていることでしょう。
産廃業の許可取得割合として一番多いのは収集運搬業です。
実に8割超の事業者が収集運搬業の許可を取得されているのが現実です。
ここでは一般的な産業廃棄物収集運搬業の許可要件の5つを分かりやすく丁寧に説明していきます。
これを読むことで、あなたがこれからどのような準備が必要になるかが分かることをお約束します。
先ずは一読してください。
それでは確認していきましょう。
Contents
講習会
産廃業の許可申請時に”事業を行うに足りる技術的能力を説明書類”というものが求められます。
これは産廃業の専門的知識と技能を習得しているかが問われているのです。
これを証明する為に日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の開催する講習会を受講して修了証を取得する必要があるのです。
これが話を聞いているだけで修了証が取得できるのなら良いのですが、講習終了後に試験を受ける必要があります。
悲しいことに合計で3回落ちてしまうと、講習を再度受けなければなりません。
講習課目
講習課目 | 収集運搬業 | 処分業 |
行政概論 | ○ | ○ |
環境概論 | ○ | ○ |
特別管理産業廃棄物概論 | △ | △ |
業務管理 | ○ | ○ |
安全衛生管理 | ○ | ○ |
収集・運搬 | ○ | |
計測管理 | ○ | |
中間処理・再生利用 | ○ | |
最終処分 | ○ |
△=特別管理産業廃棄物を扱う場合はアリ
なんだかややこしそうな課目名ですが、キチンと寝ないで話を聞いていれば終了試験も大丈夫かと思います。
受講者
個人であれば代表者(申請者)、法人であれば代表者や役員が原則として受講し修了証を取得する必要があります。
地域差があるのですが、従業員が修了証を取得していれば、申請時に使用人として可とする場合もあります。
詳しくは最寄の許可に関する窓口に問い合わせてみましょう。
有効期間
初めて受講する場合は新規講習を受講することになります。
新規講習の有効期間は5年間です。
個人で産廃業許可を取得し、法人成りをするような場合は、この期間内であれば可とする地域がほとんどかと思います。
許可と講習
産廃業の許可は5年間(優良であれば7年間)有効となります。
5年経過する前に許可の更新をする必要がありますが、この講習も再度受講する必要があるのです。
その際の講習は更新講習となり、許可期限2年前より受講することができます。
具体例
2014年に新規講習を受け、同年に個人で産業廃棄物収集運搬業の許可を取得したケース。
2018年に法人成をして新たに産廃業の許可を取得しようとすると、新規講習の有効期限は2019年まである為、5年以内なので再度受講する必要はありません。
そして晴れて許可を取得した場合に、許可の有効期限は2023年となります。
前述した通り、新規講習の有効期限は2019年までですが、この有効期限は切らしても問題はありません。
あくまで許可取得(更新)時に有効期限内の講習を受けておけば問題ないのです。
上記の例であれば、2023年の更新に対して有効な講習を受講している必要がある為、更新講習の有効期限は2年、つまり2021年以降に更新講習を受けておけば許可更新ができるといった計算になります。
受講費用と受講日数
対象者 | 受講日数 | 郵送申込 | WEB申込 |
収集運搬業(新規・更新) | 2日 | 30,400円 | 29,900円 |
処分業(新規・更新) | 3日 | 48,300円 | 47,800円 |
収集運搬業+処分業 | 3.5日 | 67,400円 | 66,900円 |
ネットで申し込めば500円お得になるのですね。
講習日程
JWセンターのHPから日程や空き状況を検索することができます。
毎月日本全国で開催されてはいますが、あなたの近所で開催されるのが毎月とは限りません。
定員がありますので、近く開催される場合は早めの予約をした方が良いでしょう。
経理的基礎
簡単に言えば、ある程度のお金を持っていることを求めています。
キチンと処分せず不法投棄などをしてしまわないかを問われていると考えていいのではないでしょうか。
では具体的にどうやって証明するかと言うと、
法人:財務諸表(貸借対照表、損益計算書、法人税納付証明書等)
個人:資産に関する調書、所得税の納税証明書等
などですが、地域差があります。
更に、それらの書類を確認して債務超過である場合に追加書類の提出を求められる場合もあります。
経営改善計画書や中小企業診断士の診断書等です。
事業計画
事業計画と言うと大げさな感じもするかと思います。
業務を行う上で適切な施設や人員が確保できているかを求めているのですね。
具体的には
- 産業廃棄物の種類や性状を把握できること
- 車両や運搬容器があること
- 搬入先が適正に処理できること
等です。
許可申請には、あなたが扱う産業廃棄物の種類を記載する必要があります。
それに合わせて、その種類に見合う容器(ドラム缶)等も記載する必要があります。
更に、搬入先の住所や会社名だけでなく、許可証の写しも提出する必要があるのです。
収集運搬施設
あなたは施設と聞いて建物を想像したかもしれませんが、基本的には車両を指します。
そして収集運搬業を行うのであれば、確実に車両が1台以上は必要となります。
それは貨物(1、4ナンバー)でも特殊(8ナンバー)でも構いません。
気を付けるべきは車検証の使用者欄があなたの名前(法人名)でなければなりません。
また、リースは可ですがレンタカーでは不可となるのは言うまでもありません。
車両の駐車場の使用権原も求める場合があります。
その際
自己所有地:登記簿謄本
賃借:使用承諾書や賃貸借契約書
等ですが、これもまた地域差で必要であったり無かったりします。
欠格条項
産廃業の許可申請において、欠格条項が定められています。
- 禁錮以上の刑を受け5年経過していない
- 成年被後見人などの制限行為能力者
- 暴力団員、暴力団員でなくなってから5年経過していない
- 過去に産廃業の許可を取消されて5年を経過していない
- 過去に廃棄物処理法等で罰金刑を受けて5年を経過していない
上記のような内容に当てはまると要件をクリアしていても許可が認められません。
法人であれば、役員の一人が当てはまっても同様なのです。
そこであなたは「交通違反で罰金を払ったことがあるんだけど」と心配されているかもしれません。
殆どの場合、それは反則金なので大丈夫かと思います。
悪質な違反で即手錠とかの経験がなければ安心してください。
まとめ
意外とボリュームがあったかもしれませんが、あなたはどう感じたでしょうか?
「それだけでいいの?」と思ったかもしれませんし、「そんなにあるの?」と思ったかもしれません。
言うまでもありませんが、全ての要件をクリアする必要があります。
あなたに時間が許されるならば、ご自身で申請にチャレンジしてみても良いかと思います。
「面倒くさい」「時間がない」というのであれば専門家に依頼するのも一つの手かと思います。
どちらにしても、あなたが許可を取得できるよう願っております。