突然ですが、あなたはこれからレンタカー事業を始めようと思っているかもしれません。
はたまた、レンタカー事業の許可を取得する為の知識を詰め込んでいる最中かもしれません。
どちらにしても、どこから手を付けていいのか分からない状態かと思います。
レンタカー事業を始めるには、様々な要件や数種類の書類収集などの作業をする必要があります。
それらを全てクリアすると、あなたは晴れてレンタカー事業で開業することができます。
ここでは、あなたがレンタカー事業を始める際、最初に読んで欲しい許可取得の要件や手続きの流れ、申請期間などを分かりやすい言葉で丁寧に解説していきます。
先ずは一読してください。
あなたがレンタカー事業を始める際の知識となることをお約束します。
それでは確認していきましょう。
Contents
レンタカー事業とは?
そもそもレンタカー事業とはどういった事業なのでしょうか?
あなたの想像通りかとは思いますが、有償にて自動車を貸し出す事業を指します。
尚、法律上では自家用自動車有償貸渡業と言います。
この事業を始めるには、国土交通省の運輸支局へ許可申請する必要があります。
では、申請するために必要な要件とはどういったものがあるのでしょうか?
申請要件
要件は大きく分けて人と車と場所の3種類に分かれます。
それぞれ確認してみましょう。
人
ここでは欠格要件というものが定められています。
申請するあなたが未成年者であったり懲役刑等を終えて2年経過していなかったりすると申請が却下されてしまいます。
車
ここではレンタカー事業に用いることができる車両の種類が定められています。
- 自家用自動車
- マイクロバス
- 特殊用途自動車
- 二輪車
レンタカー事業に用いることができない車両というのも明確にされています。
- 自家用バス
- 霊柩車
自家用バスとは、マイクロバスの要件を上回る大きさのバスを指します。
場所
少なく見積もっても営業所と車庫が必要なのは言うまでもありません。
しかし個人の方は自宅を営業所としても全く問題ありませんし、車庫に関しては位置情報を提供する必要もありません。
まぁ車庫証明が無い車両も問題でしょうから必然と営業所から2キロ以内の車庫になってしまうことになるでしょうけれども。
更に詳しく説明したページも用意しております。
整備事項
あなたがレンタカー事業を始める際に、色々と整備しておかなければならないことがあります。
どういったものがあるのでしょう?
保険の加入
当然のようにあなたがレンタカー事業を始める際、必ず車両に保険をかけておかなければなりません。
あなたにとっても利用者にとっても転ばぬ先の杖は必要でしょう。
ここでいう保険とは、強制保険と呼ばれる自賠責保険以外のいわゆる任意保険のことです。
”事故を起こした場合に備えて、十分な補償を行いうる”と定められております。
具体的には
- 対人保険:8,000万円以上(1人あたり)
- 対物保険:200万円以上(1件あたり)
- 搭乗者保険:500万円以上(1人あたり)
という数値を求められております。
それら保険にまつわる説明をしたページも用意しています。
掲示
いくつかの掲示物を事業所にて公衆(利用者)に見やすいよう掲示する必要があります。
労務供給の禁止
あなたもご存じでしょうが、レンタカー事業者は運転手を紹介・斡旋することができません。
その旨を掲示する必要があります。
料金及び約款
利用料金は分かりますが、約款とは何でしょう?
- 条約・契約などに定められている条項。
- いくつかの契約を定型的に処理するため,あらかじめ作成した契約条項。
このように定められています。
貸し出す契約を結ぶ際に簡素化できるものですね。
記録
あなたがレンタカー事業を営業していく上で、いくつか記録を保存しておかなければならないものがあります。
貸渡証
貸渡証の記載事項は以下のようなものです。
- 借受人の氏名又は名称及び住所
- 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
- 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
- 貸渡日時及び時間
- 貸渡事務所、返還事務所
- 貸渡人の氏名又は名称及び住所
- 次の遵守事項
- 「運行中必ず携帯し、警察官又は地方運輸局もしくは運輸支局の職員の請求があったときは、提示しなければならない」旨の記載
- 「自動車の借受に付随して、貸渡人から運転者の労務供給(運転者の紹介及びあっせんを含む。)を受けることはできない」旨の記載
- 貸渡自動車に係る事故及び故障等が発生した場合の処置(処置方法、連絡先等)に関する記載
- 「貸渡期間が2日以上となる場合には、日常点検を借受人が実施することとなる」旨の記載
これらを全て記載した貸渡証を交付して、借り受ける運転者にこれを携行するように指示しなければなりません。
貸渡簿
貸渡簿の記載事項は以下のようなものです。
- 借受人の氏名又は名称及び住所
- 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
- 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
- 貸渡日時及び時間
- 貸渡事務所、返還場所
- 運行区間又は行先及び利用者人数並びに使用目的(自家用マイクロバスの貸渡を行う場合に限る)
- 走行キロ数
- 貸渡料金
- 事故に関する事項
貸渡簿を備え、上記内容を記録しておく必要があります。
尚、貸渡簿の保管期間は2年以上保存しておかなければなりません。
貸渡実績報告書
貸渡した実績を報告する為に必要な書類を作成する必要があります。
前年の4月1日から3月31日までの期間を記録します。
これを毎年5月31日までに所在地を管轄する運輸支局長に提出します。
事務所別車種別配置車両数一覧表
配置車両の一覧表を作成する必要があります。
車両一覧を、1年間に4枚作成する必要があります。
これも貸渡実績報告書と同じで、毎年5月31日までに所在地を管轄する運輸支局長に提出します。
これらの要件を更に詳しく説明したページも用意してあります。
申請書の作成
申請書の作成手続きに入ります。
申請先は、あなたの事業所の所在地を管轄する運輸支局長に申請をします。
申請書と必要な書類を確認していきましょう。
自家用自動車有償貸渡許可申請書
これがメインとなるレンタカー事業の許可申請書となります。
この申請書に、書類を添付する必要があります。
どのようなものを添付するのでしょう?
- 貸渡料金表及び貸渡約款を記載した書類
- 会社登記簿謄本(個人にあっては住民票、新法人にあっては発起人名簿)
誓約書(欠格事項)
この誓約書にて、あなた(会社)が欠格事由に該当していないことを記します。
事務所別車種別配置車両数一覧表
営業所毎に配置する車両の一覧を書類で作成します。
貸渡しの実施計画
ここで記載する項目はいくつかあるので確認します。
- 事務所ごとに配置する責任者
- 従業員への指導・研修の計画等
- 保険の加入状況・加入計画
- 整備管理者(整備責任者)の配置計画 等
整備管理者は必置ではありませんが、以下の車両を保有する場合は運輸支局へ整備管理者選任届を提出する必要があります。
- バス(乗車定員11人以上の自動車):1台以上
- 大型トラック等(車両総重量8トン以上):5台以上
- その他の自動車:10台以上
申請手続きに関する情報を詳しく説明したページを用意してあります。
申請前の確認
あなたがレンタカー許可申請をする前に、色々と準備をしておく必要があります。
何を準備しておかなければならないのでしょう?
申請書類
上述したレンタカー事業を開始する際の申請書をはじめとした、数種の書類を用意する必要があります。
会社登記簿謄本
あなたが法人であれば会社登記簿謄本を、個人であれば住民票を用意する必要がありましたよね。
また、法人の場合は登記簿の(事業)目的欄に「自家用自動車有償貸渡業」や「レンタカー事業」を入れておく必要があります。
貸渡約款の作成
レンタカーを貸し出す際の、条件等の決まりごとを作成する必要があります。
貸渡料金表の作成
レンタカーを貸し出す際の、料金表を作成しておく必要があります。
これらの書類を全て揃えて初めて申請することができます。
申請手続きの流れと期間
では、申請書を提出してからどのくらいの期間で許可はおりるのでしょう?
許可申請の流れを確認していきます。
申請書の提出
申請先は、あなたが営業される地域を管轄する運輸支局の窓口となります。
申請書を提出してから、標準処理期間は1か月となっております。
どことは言いませんが1~2週間で許可がおりる地域もあります。
申請の許可
申請書類に補正などが無ければ、上述した通りに約1か月で許可がおります。
この時点で、許可証が交付されます。
登録免許税の納付
登録免許税である90,000円を、金融機関などで支払います。
この金額は全国一律となっております。
レンタカーの登録
申請の許可がおりると、運輸支局より、事業用自動車等連絡書というものが発行されます。
地域によってはレンタカー事業者証との引き換えという場合もあります。
この書類と車検証を持って今度は陸運局へ行きレンタカーの登録を行います。
この登録が終わって、はじめて「わナンバー」が取得できるわけです。
わナンバーの登録に関して詳しく説明したページもございます。
業務開始
このような手順を経て、晴れて業務開始となります。
申請書の提出から許可までは、およそ1か月強で可能かと思います。
それに付随した書類の作成や手続きを踏まえると、プラス1か月みておいたほうが良いでしょう。
申請手続きの流れや期間を詳しく説明したページを用意してあります。
レンタカー事業を始める際、法人設立が良いか?個人経営でも良いか?
それぞれにメリットとデメリットがあります。
- 設立手続き
- 信用
- 経費の計上
- 社会保険加入の有無
- 赤字の繰り越し期間
- 会計年度
など、それぞれに違いが出てくるわけです。
これらを比較したページも用意してあります。
個人経営?フランチャイズ加盟?
あなたはレンタカーを開業しようとして、一度はフランチャイズについて調べたことがあるかもしれません。
それぞれにメリット・デメリットは当然あります。
それらを比較したページも用意してあります。
合同会社って何?
最近よく耳にする合同会社。
個人事業主より信用は高く、株式会社より自由度が高いといったメリットを持つ合同会社。
どのような会社なのでしょう?
詳しく説明したページを用意しました。
申請手続きを自分でする?行政書士に依頼する?
あなたも、時間をかければ取得することが十分可能です。
時間短縮を取るか?費用削減を取るか?
ちなみに行政書士に依頼する平均報酬は63,662円です。
よろしければコチラのページもご覧ください。
無料でレンタカーのユーザーニーズを調べる方法
あなたがレンタカー事業を始める際、ユーザーがレンタカーに何を求めているかが分かったら嬉しくないですか?
Googleを使って、無料である程度の予測を立てることが可能です。
ユーザーはどのようなキーワードで検索しているのでしょう?
それらを詳しく説明したページを用意してあります。
レンタカー事業開業時に無担保・無保証人でお金を借りる
日本政策金融公庫の新創業融資制度というものがあります。
ここでは一定の条件を満たし計画に不備がないと判断されると、無担保・無保証人で最高3,000万円借りることができます。
その条件や流れを詳しく説明したページを用意してあります。
営業開始してから外国人に貸渡す際に気をつけるポイント
年々増え続ける訪日外国人観光客。
その数は近年100万人を超えました。
そんな外国人の方々に貸渡す場合に気をつけるべきポイントがあります。
それらを詳しく説明したページを用意してあります。
中古車を用いてレンタカー事業を始める際に覚えておいてほしいこと
あなたはレンタカー事業をこれから始めようと思っているかと思いますが、新車ではじめますか?中古車ではじめますか?
「モチロン新車やで!」というのであれば読み飛ばしてください。
ここでは中古車を用いてはじめようと考えている方に一つだけ覚えておいてもらいたい内容です。
中古車屋を始めるのに「古物商許可」というものが必要なのですが、実はレンタカー事業でも中古車を用いる際はコレが必要だったりするのです。
ただ、縦割り行政が目に余る現代日本においてどこが取り締まるんだろう?という疑問を持ちつつ専門ページを用意しました。
よかったら参照してみてください。
レンタカーの知識 | 中古車を使用する際に古物商許可は必要?不要?
まとめ
いかがだったでしょうか?
きっとあなたがレンタカー事業を始める際の知識補完に役立てたことかと思います。
おそらく、あなたの申請は許可されるでしょう。
ですが、許可取得はゴールではなくスタートです。
そこからの経営はあなたの頑張りにかかっております。
それ以降は手伝いではなく、応援するか祈るくらいしかすることができません。
どうか、あなたが無事にレンタカー事業を開始することができ、経営が順調でありますように。